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Tuesday, September 20, 2016

誰よりも多くの人を感情移入させる選手

高橋大輔 The Real Athlete DVD

世界一過酷なオリンピック選考会と言われた2013年の全日本は、多くのベテラン選手が現役最後のシーズンとして臨んでおり、男子フリーでは織田くんが自分らしく全日本最後の演技を終えるのを見届け、会場が盛り上がる中一人切なさに襲われていました。

【最後までもがき続けた選手の切なくも美しい姿】

そんな織田くんに続いて登場したのは、彼とともに長年日本男子を牽引し続け、日本における男子シングルの人気を一気に押し上げた功労者でもある大ちゃんでした。

怪我を抱えていて万全のコンディションではなかったものの、ショートでは何とか4位に踏みとどまりオリンピックへの可能性をつなげ、満身創痍でフリーに臨む彼の登場に、会場中のファンがD1SKと書かれたタオルとともに最大限の声援を送りました。

「ビートルズ・メドレー」の優しい旋律に乗せて演技が始まり、会場中が見守る中挑んだ最初の4回転で転倒、その瞬間ああっと声が上がり自然に応援の拍手が沸き起こり、観客の応援を後押しに2本目の4回転に挑みましたが回り切れずに着氷してしまいました。

しかしそこからトリプルアクセルを決めて意地を見せ、曲調が変わると持ち前の表現力豊かなステップでがらりと空気を変え、一挙手一投足に音を乗せ無駄な動作が一つもない洗練された動きで魅了し、会場からも歓声が上がっていました。

そして曲が一区切りし動きを止めて手を伸ばした瞬間、その手が血で赤くにじんでいるのが見え、ハッとしたところで曲調が変わり、傷を負いながらも滑り続ける姿にどんどん感情移入していきました。

後半に入って最初のジャンプ、トリプルアクセルで手をつきながらも何とかダブルトウループにつなげ、さらにトリプルルッツからの3連続を決めると会場からは歓声が上がりました。

しかし続くトリプルループがダブルになってしまい、もう足が限界にきているのが伝わってきて観るのが辛くなりましたが、次のトリプルフリップを決めると穏やかな曲調になって雰囲気がまたがらりと変わり、柔らかい動きで観客を惹きつけていきました。

そして最後のジャンプ、トリプルサルコウを決めると曲はどんどん盛り上がっていき、クライマックスでは自由にはばたく鳥のように全身を大きく使い、体中からあふれる想いが伝わってくる圧巻の滑りでした。

終わった瞬間全てを悟ったかのように笑顔を見せる様子が切なく、満身創痍の中最後まで滑り切った彼の姿に、会場中のファンが立ち上がってその勇姿を称え、声援と拍手がしばらく鳴りやみませんでした。

そして血でにじんだ手がモニターに映し出されると会場がどよめき、キスアンドクライではショートと同じく泣きそうな表情で、170点台という得点が発表され会場が静まり返る中、噛みしめるようにうなずく様子は正直見ていられないほど辛かったです。

【誰よりも多くのファンを魅了してきた本当の理由】

改めて地上波で放送された演技を観てみると、実況の西岡アナや解説の本田武史さんも演技後は声を震わせながら話していて、いつも冷静な二人がここまで感情移入する様子に驚き、彼が男女問わずあれほど多くのファンを魅了する理由がわかった気がしました。

それまで大ちゃんは男前だから女性ファンが多いんだろうなとか、彼独特の芸術性や表現力に憧れる男子選手が多いんだろうなとか表面的なところしか見ていませんでしたが、容姿も演技も美しく非の打ちどころのない偶像というだけではなく、ときには弱さや脆さを見せる普通の人間だからこそあれだけ多くの人が彼を応援してきたんだなと納得しました。

フロム・イエスタディ・トゥ・ペニー・レイン/ セルシェル・プレイズ・ビートル

そんな誰もが応援したくなるような演技に心を揺さぶられた後、いよいよ男子の戦いが終盤を迎える様子は次回お伝えします。

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Sunday, September 11, 2016

会場でしか味わえない熱気と一体感

フィギュアスケートファン 2012 高橋大輔・小塚崇彦・安藤美姫・羽生・今井・世界のスケーター大 (COSMIC MOOK)

オリンピック代表候補の演技に一喜一憂してきた全日本の男子ショートは、羽生くんの貫禄あふれる演技を皮切りに続々と有力選手が登場しました。

【怪我との闘いに苦悩する選手と観客】

羽生くんに続いて登場したのは、前回のオリンピックで大怪我から見事に復帰して日本男子初となるメダルを獲得するなど、長年日本男子を引っ張り日本のフィギュア界に大きく貢献してきた高橋大輔さんでした。

彼が登場すると物凄い歓声と共にD1SKと書かれたタオルが会場を埋め尽くし、彼がどれだけ日本のファンに愛されているかというのを肌で感じることができ、これだけ熱気にあふれる会場の空気はもう二度と味わえないかもしれないと思い、この光景をしっかり目に焼き付けました。

怪我を抱えていて万全のコンディションとは言えなかったこの全日本のショートでは、最初の4回転で両足着氷になりながらも何とかこらえ、続くトリプルアクセルは成功したと思った瞬間転倒してしまい、ジャンプのたびに会場から歓声や悲鳴が上がっていました。

最後のトリプルルッツからのコンビネーションは何とか決まり、会場からは大歓声が上がっていましたが、最後のスピンでもふらつくなど怪我の影響で実力を出し切れず、見ていて辛くなる演技でした。

採点を待つ彼が呆然とした表情で今にも泣きそうなのを見てこちらまで切なくなり、転倒や回転不足の影響で点数も伸びず、羽生くんの演技後の興奮から一転して会場は重苦しい空気になりました。

【軽快なリズムで会場を一つにした演技】

そんな沈んだ空気の中登場したのは、スケート一家に生まれフィギュア界のサラブレッドとして期待され、長年日本代表として世界選手権銀メダルなど数々の実績を残してきた小塚崇彦さんでした。

冒頭の4回転を何とかオーバーターンでこらえると、「アンスクエア・ダンス」の7拍子のリズムに合わせて会場からも手拍子が上がり、私もこの独特なリズムに何とかついていこうと必死で周りに合わせて手拍子しました。

大きな手拍子で盛り上がる中トリプルアクセルを綺麗に決め、7拍子のリズムに乗った軽やかな滑りで魅了し、こちらも手拍子でリズムを取りプログラムの一部になったような気分で楽しめました。

そして前半が終わると曲調が変わり、こちらも手拍子を止めて一息つきながら見守る中迎えた後半のコンビネーションジャンプは、最初のトリプルルッツでオーバーターンしてしまい、これはまずいと思っていたら何とそこからトリプルトウループを付けて根性を見せました。

そして再び7拍子のリズムになると自然と観客から手拍子が上がり、私もこのリズムにだいぶ慣れてきて楽しんで手拍子に参加できるようになり、リズムを取りながら彼のつるつる滑る軽快で美しいステップを観るのは心地よく、最後まで楽しんで観ることができました。

ジャンプのミスを最小限に抑えて美しいステップやスピンで得点を稼いだ結果90点台の高得点が出て、本人は予想外の高得点に驚いて小動物のようにくるくる表情を変え、不思議そうに両手を広げて観客を笑わせていて、この素直で謙虚なところが日本のファンに愛される理由なんだろうなと微笑ましく思いました。

この「アンスクエア・ダンス」はお茶の間で観ても十分楽しめますが、やはり会場で手拍子に参加しながら観るのは格別で、選手と観客と音楽が一つになって作り上げる一体感を楽しめるこのプログラムは、会場まで観に来て良かったなと思える素敵な作品でした。


そんな会場を楽しませてくれた小塚くんの演技が終わり、会場全体に張り詰めていた緊張感もほぐれてきましたが、まだまだ観客を盛り上げる選手の登場に目が離せない男子ショートの続きは次回お伝えします。

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Thursday, August 11, 2016

日本で人気選手が出場する試合を生観戦

NHK杯国際フィギュアスケート競技大会 公式メモリアルブック (教養・文化シリーズ)

日本でフィギュアのチケットを取るのは至難の業だと聞いていましたが、海外でしか観戦経験がなかったため日本の会場の雰囲気も味わってみたいと思い、友達もチケットが取れたら一緒に行きたいとのことで、オリンピックシーズンのNHK杯のチケットを2枚申し込んでみました。

このNHK杯は高橋大輔さんや浅田真央選手など人気の選手が出場するということで、競争率が高くチケットを取るのは難しいだろうなと予想していましたが、幸運なことに狙っていた土曜日のチケットを取ることができ、男女シングルともにフリーを観戦できることになりました。


【お茶の間観戦で目に留まった演技】

ショートの演技はテレビやネットで事前にチェックしていましたが、中でも織田信成さんのショート「コットンクラブ」が特に気に入って、彼は前のオリンピックシーズンの「チャールズ・チャップリンメドレー」といい、コミカルな演技が本当に上手いなと改めて感じました。

さらに4回転を含むジャンプを全て成功させる素晴らしい内容で、本人ものびのびと滑っていて本当に楽しめる演技で、高得点を期待し会場からも得点発表を促す手拍子が上がっていましたが、発表された得点はまさかの82点台でした。

演技内容と得点があまりに剥離していたため、会場からも「えー!?」と不満の声が上がっており、本人の凍り付いた表情を見てやりきれない気持ちになりました。

どうやら4回転が回転不足を取られていたようですが、素人目には完璧なジャンプに見えたため納得できず、気になってファンの方々の感想をいろいろ調べてみると、素人の私だけでなく多くのファンがこの採点はおかしいと訴えていました。

The Cotton Club: Original Motion Picture Soundtrack

【暗雲を全て吹き飛ばした爽快な演技】

こんな不可解な採点を目の当たりにしたため、フリーこそは織田くんが報われることを願い、ひたすら祈りながら彼の演技を見守りました。

フリーの「ウィリアム・テル序曲」では最初の4回転が3回転に抜けてしまいましたが、2本目の4回転を綺麗に決めるとその後のジャンプも次々と猫足着氷で決めていき、最後まで無事に滑り終えることができてほっと一安心しました。

ただショートのトラウマがあったためハラハラしながら得点発表を待ち、本人も両手を合わせて祈りながら得点を待っている様子でしたが、今回は170点台の高得点が出て本人も嬉しそうで、最後に彼の笑顔が見れて良かったと心から思いました。

【意表を突いた選曲に戸惑う会場】

そして優勝候補の大ちゃんの前に登場したのは、ショートで2位のハビエル・フェルナンデスでした。

このシーズンの彼の演技を見るのはこれが初めてでしたが、「ピーター・ガン」の楽しげな音楽に乗せて滑るのを見て、今シーズンも得意のコミカル路線で行くんだなと思っていると、突然お色気モードの曲調になりあっけにとられました。

フィギュアを見始めてから様々な演技を見てきましたが、こんな曲調で演技する選手を見たことがなかったため戸惑いを隠せず、さらに友達と見ていたため余計に気まずさを感じてしまい、思わず「凄い選曲やな・・・・・・。」と演技中につぶやいてしまいました。

他の観客も曲に戸惑っていたからかあるいはミスが多かったからか、あまり盛り上がらず得点も伸びませんでしたが、オリンピックシーズンにかなり冒険したなと感じるこのプログラムは、今後どんな作品に仕上がるんだろうと逆に楽しみになりました。


【人気者の登場に歓喜する会場】

そしていよいよ大本命の大ちゃんの出番となり、会場はとんでもない大声援に包まれ、彼の日本での人気ぶりを肌で感じることができました。

「ビートルズ・メドレー」に乗せて演技が始まると、美しく華麗な表現で演技中にたびたび歓声が上がるほど観客を魅了し、ジャンプでいくつかミスが出たにもかかわらず会場は総立ちでした。

彼もこの2年ほど前の「ブルース・フォー・クルック」など選曲で冒険する印象があり、この「ビートルズ・メドレー」も面白い選曲だなと思いましたが、どんな曲調でも自分の色に染める表現力は唯一無二のものだなと思いました。

フロム・イエスタディ・トゥ・ペニー・レイン/ セルシェル・プレイズ・ビートル

そして結果は大ちゃん優勝、織田くん2位となり、日本勢にとって素晴らしい結果となりました。

この勢いで女子も日本人選手が活躍することを祈りつつ、女子のフリーを見届ける様子は次回お話しします。

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