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Wednesday, January 18, 2017

おそロシア時代の到来を確信した演技

パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 オリジナル・サウンドトラック

オリンピックシーズンの集大成となった2014年の世界選手権を3日間現地観戦し、男子はソチオリンピックの金メダリストである羽生くんが激戦を制し、羽生くんのスケート人生において大きな意味を持つワールドのタイトルを勝ち取る瞬間を目の当たりにしましたが、女子フリーだけは現地で観られなかったので自宅で見届けていました。

女子はショートで世界記録を更新した真央ちゃんを始め、カロリーナ・コストナーやユリア・リプニツカヤなどオリンピックのメダリスト達が注目を集める中、女子フリーで目を引いたのはソチオリンピックにも出場していなかったロシアの若手、アンナ・ポゴリラヤでした。

【ロシア女子の脅威を感じた演技】

「パイレーツ・オブ・カリビアン」の迫力ある音楽に乗せてポゴちゃんの演技が始まると、15歳とは思えない大人びた雰囲気と独特のオーラに惹きつけられ、冒頭のトリプルルッツ-トリプルトウループを鮮やかに決めると、さらに畳みかけるようにトリプルループ-シングルループ-トリプルサルコウの3連続も見事に決めました。

序盤から高難度ジャンプが続く見ごたえのあるプログラムにあっという間に引き込まれていき、2本目のトリプルルッツも軽やかに決めると、長い手足を生かしたスピンや全身を大きく使ったステップで惹きつけ、そのダイナミックな演技は曲の迫力にも負けておらず大器の片鱗を感じました。

そして神秘的な曲調に変わり後半に入ると、トリプルループに片手を上げたダブルトウループをつけて美しく決めて、さらにダブルアクセルを決めるとスタイルの良さが映えるスパイラルで魅了し、2本目のダブルアクセルとトリプルフリップも決めて恐るべき安定感を見せました。

続いて美しいレイバックスピンを披露すると再び迫力ある曲調に変わり、最後は長い脚を高速で勢いよく回すド迫力のスピンで、手足が長すぎてコントロールしきれていない様子でしたが、粗さがありながらも15歳とは思えない堂々たる演技で観客を魅了しました。

【ロシア女子の台頭を確信した瞬間】

この「パイレーツ・オブ・カリビアン」は迫り来る恐ろしさを感じるような曲調のプログラムでしたが、ダイナミックな演技で曲負けしないオーラを放つポゴちゃんにただならぬものを感じ、また後半の神秘的な曲調では15歳とは思えないほど妖艶で謎めいた雰囲気に惹きつけられ、このプログラムにはロシア女子の底知れぬ怖さと魅力が詰め込まれているなと感じました。

この圧巻の演技で131点台という高得点を叩き出してフリーでは3位となり、総合得点は4位で惜しくも表彰台を逃しましたがフリーの技術点では優勝した真央ちゃんを上回ってトップとなり、このシーズンのオリンピックと世界選手権ではロシア女子は2枠しかありませんでしたが、ポゴちゃんのこの演技を観てこれから女子はおそロシアの時代がやってくるなと確信しました。


ここまで2014年の世界選手権について振り返ってきましたが来週からヨーロッパ選手権を観戦する予定なので、次回からはヨーロッパ選手権についてお話ししたいと思います。

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Monday, January 16, 2017

日本の観客の恐るべき適応能力の高さ

Vol. 7-Crime Scene

2014年のソチオリンピックの後にさいたまで行われた世界選手権では、3日目の男子フリーで日本男子が壮絶な優勝争いを繰り広げ、ショート3位の羽生くんがフリーで追い上げてショート1位の町田くんと0.33点差でトップに躍り出るというドラマチックな展開となりましたが、羽生くんに続いてショート2位のハビエルが登場しました。

日本男子を破って優勝する可能性のあるハビエルに対し、アボットのときと同じように会場から大声援が送られるのを見て、日本の観客は何て温かいんだろうと感動し、生で観るのはNHK杯以来となるハビエルのフリーを楽しみにしていました。

【会場を盛り上げるエンターテイナーの演技】

「ピーター・ガン」のリズミカルな音楽に乗せてハビエルの演技が始まり、冒頭の4回転トウループを鮮やかに決めると、4回転サルコウはオーバーターンになりながらも何とかダブルトウループをつけ、トリプルアクセルも決めて順調な滑り出しを見せました。

そしてコミカルな曲に乗せてスピンとステップを披露し、妖しげな曲調に変わると会場の興奮が徐々に高まり、サックスの旋律に合わせた色気あふれる振付で「ヒュー!」と歓声が上がる中、後半の4回転サルコウを軽やかに決めました。

しかしトリプルルッツ-ダブルトウループのルッツがシングルに抜けてしまい、「あー・・・・・・。」と残念そうな声が会場に響く中、続くトリプルループは綺麗に決めて立て直すと、トリプルフリップ-シングルループ-トリプルサルコウの3連続も決めました。

再びコミカルな曲に変わると会場から手拍子が上がり、リズミカルな音楽に合わせた手拍子で盛り上がる中スピンとコレオシークエンスを披露し、トリプルサルコウも見事に決めると、最後のスピンが終わる前から会場は大歓声に包まれました。

NHK杯のフリーでは妖しげな曲調になると私自身戸惑いを隠せず、他の観客も戸惑っていたからか会場はあまり盛り上がりませんでしたが、この世界選手権では観客も大歓声で見せ場を盛り上げていて、日本の観客は適応能力も素晴らしいなと思いました。

初めてNHK杯でこのフリーを観たときはオリンピックシーズンにとんでもないプログラムを持ってきたなと感じていましたが、この世界選手権でさらに完成度を高めたフリーを改めて観てみると、最初から最後まで様々な展開があってワクワクするプログラムだなと感じ、試合とは思えないほど楽しんでいる自分がいました。

【激戦を勝ち抜いた価値ある優勝】

ハビエルはこの誰もが楽しめるフリーで179点台という高得点を叩き出し、最終結果は羽生くん優勝、町田くん2位、ハビエル3位となりました。

この世界選手権ではソチオリンピックの金メダリストである羽生くんが0.33点差で辛うじて優勝を勝ち取り、これから羽生くんの時代がやってくるんだろうなと思っていましたが、まさかこの後2シーズン続けて世界選手権で優勝を逃すとは思わず、今となってはこのとき優勝しておいたのは羽生くんにとって凄く大きかったなと思います。

Harlem Nocturne (Instrumental) (1996 Digital Remaster)

こうして男子の激しい戦いが終わり私は一度さいたまを離れますが、自宅でお茶の間観戦した女子フリーで印象に残った演技について次回はお伝えします。

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Friday, January 13, 2017

世界のトップを争う日本男子の黄金期

改訂版 - ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2014年ISU世界選手権 Beautiful Moments of ISU World Figure Skating Championships 2014 Saitama Japan (Beautiful Moments of Figure Skating)

オリンピックシーズンにさいたまで行われた2014年の世界選手権では、3日目の男子フリーで町田くんが2シーズンかけて熟成させた「火の鳥」を見事に演じ切り、最後にして最高の「火の鳥」を観ることができましたが、その町田くんと優勝を争う羽生くんの登場で会場は再び熱気に包まれました。

ソチオリンピックの金メダリストとしてこの世界選手権に臨み、誰もが優勝候補の筆頭だと思っていましたが、ショートでは珍しく4回転トウループで転倒してしまい、ショート1位の町田くんとは7点差のショート3位でフリーを迎えました。

【逆転優勝を狙って死力を尽くしたフリー】

「ロミオとジュリエット」の激しい旋律に乗せて羽生くんの演技が始まると、冒頭の4回転サルコウを何とかこらえ、続く4回転トウループを鮮やかに決めると、トリプルフリップも決めて順調な滑り出しを見せました。

穏やかな曲調に変わって後半に入ると、トリプルアクセル-トリプルトウループを何とかこらえ、2本目のトリプルアクセルは両手を上げたダブルトウループをつけて美しく決めると、続くトリプルループも綺麗に決めました。

しかしトリプルルッツの着氷で乱れてしまい、ヒヤッとしましたがシングルループとトリプルサルコウを何とかつけてコンビネーションにつなげると、最後のトリプルルッツも見事に決め、見せ場のイナバウアーで会場は最高潮の盛り上がりとなりました。

【2シーズンで見せた急成長と強さの秘訣】

演技を終えると力尽きたのかそのままリンクにしゃがみ込み、2シーズン前のロミオとジュリエットでも最後にばてていたのを思い出しましたが、あれから2シーズンでとんでもない成長を見せたなと思うと感慨深く、会場も総立ちで羽生くんの勇姿を称えました。

このフリーではこらえるジャンプが多かった印象ですが、1年前の世界選手権のフリーでもジャンプをこらえながらも何とか最後まで滑りきっていたのが印象的で、それまで試合でなかなか決まらなかった4回転サルコウを、2年連続で世界選手権のフリーで降りるというのは驚異的だなと思いました。

そして初出場の世界選手権から3年連続でフリーのジャンプを全て降りていてピークを合わせるのが上手いなと感銘を受けましたが、世界選手権ではショートで出遅れてフリーで挽回するというパターンが続いていて、ソチオリンピックでは金メダルだったもののショート1位で迎えたフリーでミスが続き不本意な演技となってしまったので、追われるより追う立場になったときに底力を発揮するんだなと羽生くんの強さの秘訣を見た気がしました。

この渾身のフリーで191点台という高得点を叩き出し、総合得点は282.59点で町田くんと何と0.33点差で辛うじてトップに躍り出るというとんでもない逆転劇を見せ、町田くんの心情を思うと少し切なさも感じましたが、世界選手権で日本男子が優勝争いを繰り広げるという歴史的瞬間に立ち会えるなんて凄く幸せなことだなと思いました。


こうして男子フリーでは日本人同士で激しい優勝争いを繰り広げる中、もう一人の優勝候補の登場で会場が再び熱気に包まれる様子は次回お話しします。

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Wednesday, January 11, 2017

空中戦に突入した今でも恋しくなる演技

改訂版 - ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2014年ISU世界選手権 Beautiful Moments of ISU World Figure Skating Championships 2014 Saitama Japan (Beautiful Moments of Figure Skating)

オリンピックシーズンを締めくくる2014年の世界選手権がさいたまで行われましたが、3日目の男子フリーではアボットの渾身の演技にアメリカかと思うほどの大歓声が沸き起こり、どの国の選手にも惜しみなく声援を送る日本の観客の温かさを肌で感じ、いよいよ日本男子が登場する最終グループを迎えました。

まずはショート1位でフリーを迎える町田くんが日本男子の先陣を切って登場すると、2年前のスケートアメリカで「火の鳥」を滑る姿を目の前で見ていた私は、あのときのスケアメと同じ衣装で登場する姿にこみ上げてくるものがあり、2シーズンかけて磨き上げてきた「火の鳥」の完成形が見られることをただただ願って見つめていました。

【2シーズンかけて熟成させた火の鳥の最後】

いよいよ激しい音楽に乗せて「火の鳥」の最後の演技が始まり、冒頭の4回転トウループを何とかこらえると、2本目の4回転トウループはダブルトウループをつけて綺麗に決め、続くトリプルアクセル-トリプルトウループも鮮やかに決めました。

そして優しい曲調に変わって後半に入り、2本目のトリプルアクセルを何とかこらえると、足換えキャメルスピンでは鳥が羽ばたくように右手をひらひらと優雅にはためかせ、トリプルループはオーバーターンになりながらも何とかこらえました。

こらえるジャンプが続いて心配になりましたが、続くトリプルルッツは美しく決めて着氷後も両手をくるくると華麗に回す振付で魅了し、トリプルフリップ-ダブルトウループ-ダブルループの3連続も軽やかに決めると、最後のトリプルサルコウも見事に決めました。

ジャンプを無事に終えてすでに感極まっていましたが、全日本でもジャンプを全て決めたものの最後のコレオシークエンスの途中でつまずいてしまったので最後まで油断できず、コレオシークエンスから最後のスピンまで無事に終えるのを見届け、フィニッシュポーズを見てようやく「火の鳥」が完成したんだと感無量でした。

【2年間の成長とこだわりを感じさせる演技】

フィニッシュとともに大歓声が沸き起こり、会場は総立ちで町田くんの勇姿を称え、私も2シーズンかけて完成させた「火の鳥」の最後を見届けることができて感激し、天井席でしたが立ちあがって精一杯拍手を送りました。

この演技が観られただけでも満足でしたが、184.05点という全日本より高い得点でパーソナルベストを更新し、2年前のスケアメでは154.17点だったことを思うと、あれから2シーズンが経ち再び同じ衣装で滑って30点も高い得点を出すなんて夢のようでただただ胸がいっぱいでした。

ワールド・フィギュアスケート 55

そして何よりもこの作品がやっと完成したなと思えたのは予定通りのジャンプを全て飛んだ上で、キャメルスピンで右手をはためかせたりトリプルルッツの着氷後に両手を回したりといった細かいところまで洗練された演技ができたというのが大きく、特に町田くんの「火の鳥」ではトリプルルッツに限らずジャンプ着氷後に独特の振付が盛り込まれているところが大好きで、さらに美しいキャメルスピンでは最初からレベル3の構成でレベルよりも芸術性を大事にしているんだろうなというこだわりを感じました。

あれから男子フィギュアはどんどん進化していき、今や様々な種類の4回転が飛び交う空中戦に突入し、さらにスピンやステップでもレベル4を揃えることが求められるというとんでもなくハイレベルな時代となりましたが、そんな現在の男子ではなかなか見られないような芸術性を追求していた町田くんの演技が今でも時々恋しくなります。

JOE HISAISHI CLASSICS 3:ウィリアムテル序曲/亡き王女のためのパヴァーヌ/組曲「くるみ割り人形」/火の鳥 1919版

こうして町田くんの「火の鳥」の完成形を見届けた後、さらにドラマチックな展開を迎える様子は次回お伝えします。

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Monday, January 9, 2017

選手の心を動かす日本の観客の温かさ

ザ・レジスタンス

オリンピックシーズンの集大成となった2014年の世界選手権では2日目の女子ショートで真央ちゃんが世界記録を更新しましたが、世界一の実力がありながらオリンピックでその実力を発揮できない不器用さが美姫ちゃんと重なり、こういう不器用さも日本女子の愛すべきところだなとしみじみと感じ、いよいよ3日目を迎えて勝負の男子フリーへと向かいました。

日本男子が控える最終グループを前に、第3グループで現役最後の試合としてこの世界選手権に臨むジェレミー・アボットが登場し、会場はアメリカかと思うほどの大歓声に包まれ、演技前にはおじさんの大声での声援に拍手が起きるのを見てアボットの人気を実感しました。

【現役最後と決めた選手の渾身の演技】

「エクソジェネシス」の優しい旋律に乗せてアボットの演技が始まり、冒頭の4回転トウループを見事に決めると、続くトリプルアクセルは何とかこらえてダブルトウループをつけ、トリプルフリップも決めて順調な滑り出しを見せました。

そして音楽が盛り上がってきたところでダブルアクセルを決めると、続くトリプルアクセルも見事に決め、さらに畳みかけるようにトリプルサルコウを決めると、音楽とともに会場の興奮も高まっていきました。

さらにトリプルルッツ-トリプルトウループ-ダブルトウループを決めると、最後のダブルアクセル-ダブルトウループも決めて、再び優しい曲調になると立ち止まって手をつく独特の振付で歓声を呼び、演技が終わる前から会場は総立ちでとんでもない歓声に包まれました。

【点数以上の感動を呼んだ選手】

壮大な音楽に乗せて畳みかけるようにジャンプを決めていく様子は、アボットのスケート人生の集大成を見ているようで、こんなに感動して幸せな気分になる演技はなかなか観られないなと思い、私も立ち上がって全力で拍手を送りました。

しかし得点は166点台と思ったほど伸びず、アボットも首を横に振って納得していない様子がスクリーンに映り、良い演技だったにもかかわらず得点が伸びないというのはジュベールで何度も経験してきましたがやはり切なく、天井席だったから最初のジャンプは4回転に見えたけど実は3回転だったのかななどと想像を巡らせていました。

改めて確認してみるとやはり最初のジャンプは4回転でしたが、オリンピックのショートで激しく転倒してフリーでトリプルループを飛べなかったときと同様この世界選手権でもトリプルループの代わりにダブルアクセルを2回飛んでおり、さらにトリプルルッツからの3連続でも回転不足を取られ、オリンピックでの怪我がまだ響いているのかなと感じました。

しかし現役最後と決めた試合で自分の力を出し切れたことが何よりも素晴らしく、特にアボットは体が大きく手足が長いのに無駄な動きがなく洗練された印象で、これまで体の大きな選手はダイナミックな演技が得意な印象がありましたが、長い手足を見事にコントロールしてあれだけ繊細な演技ができるのがアボットの凄さだなと思いました。

そしてこのシーズンで現役を引退する予定だったアボットはこの世界選手権のフリーで大歓声を受けたことで現役続行を決め、演技前に声援を送っていたおじさんはアボットのお義父さんだったことを後で知りましたが拍手していた観客は全て知っていたんだなと思うと、日本の観客は知識だけでなくどの国の選手にも温かいところが本当に素晴らしく、選手の心を動かす大きな原動力になるんだなと感銘を受けました。


こうして最終グループを前にすでに会場は最高潮の盛り上がりを見せていましたが、いよいよ日本男子が登場する最終グループを迎える様子は次回お話しします。

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Friday, January 6, 2017

世界一のスケートと愛すべき不器用さ

改訂版 - ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2014年ISU世界選手権 Beautiful Moments of ISU World Figure Skating Championships 2014 Saitama Japan (Beautiful Moments of Figure Skating)

オリンピックシーズンの集大成となる世界選手権が全日本と同じさいたまで開かれるということでチケットを何とか確保し、初日は男子ショートの最終グループの途中からしか観られませんでしたが、素敵な演技をいくつも観ることができて短くも充実した時間を過ごし、いよいよ2日目を迎えて期待を胸に女子ショートへと向かいました。

ソチオリンピックで金メダルを争ったアデリナ・ソトニコワとキム・ヨナが不在の世界選手権で、女子の注目は何といっても真央ちゃんでしたが、ソチオリンピックのショートではミスが続いて信じられない順位に沈んでしまったので、ここであのときの悔しさを晴らすことができればいいなと願っていました。

【オリンピックの雪辱を果たすショート】

「ノクターン」の軽やかな音楽に乗せて真央ちゃんの演技が始まり、明るいピアノの音色とは裏腹に会場は冒頭のトリプルアクセルに向けて緊張感が高まっていきましたが、トリプルアクセルを見事に決めると割れんばかりの大歓声が沸き起こり、会場が一つになった気がして鳥肌が立ちました。

続いてトリプルフリップも鮮やかに決めるとそのまま流れるようにスピンに入り、後半のトリプルループ-ダブルループも軽やかに決めると、ステップではこぼれ落ちるピアノの音を一つ一つ拾っていくような柔らかい表現が心地よく、最後のスピンまでピアノのきらきらした音色と一体化して曲の世界観を見事に表現していました。

【軽やかに塗り替えられる世界記録】

会心の演技に会場は総立ちで歓声を送り、花やぬいぐるみが雨のように降り注ぐこの日一番の盛り上がりを見せましたが、トリプルアクセルを入れた高難度のプログラムにもかかわらず、最初から最後まで流れるような演技で曲の世界観に自然と溶け込んでいたのが何よりも凄いなと思いました。

そして78.66点という得点が発表されると会場は再び割れんばかりの大歓声に包まれましたが、私はこれまで聞いたことのない得点に「もしかして世界記録?」と何となく感づき、あんなに軽やかな演技で世界最高得点が出せるなんて信じられないとあっけにとられつつ、もしこれがオリンピックでできていればという思いもこみ上げてきました。

こんなにさらっと世界記録が出せる真央ちゃんはこのとき間違いなく世界一の女子スケーターだったと思いますが、前回バンクーバーオリンピックで銀メダルに終わった後の世界選手権で優勝していたこともあり、美姫ちゃんと同様なかなかオリンピックにうまくピークを合わせられないもどかしさはありますが、そんな不器用なところも日本女子の愛すべきところなのかなと感じました。


こうして女子ショートでは真央ちゃんの世界記録更新という歴史的瞬間を目の当たりにしましたが、翌日の男子フリーでさらなるドラマを目撃する様子は次回お伝えします。

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Wednesday, January 4, 2017

フィギュアを純粋に楽しむということ

クロックス

ソチオリンピックは真央ちゃんの渾身の演技に感銘を受け、フィギュアへの向き合い方を考え直す大きな転機となりましたが、オリンピックシーズンの集大成となる世界選手権が日本で開催されるということで、激しいチケット争奪戦に加わり女子フリー以外は何とかチケットを確保することができました。

しかし初日は大学の卒業式と重なってしまい、東北地方に住んでいた私は卒業式が終わると急いで家に帰って支度を済ませ、慌てて新幹線に乗り込み世界選手権が行われるさいたまへと向かいましたが、途中で乗り換えを間違えかなりの時間をロスしてしまいました。

車内で初日の男子ショートの滑走順を見つめながら、もう最終グループ前の町田くんの演技には間に合わないなと諦め、せめて最終グループの羽生くんの演技に間に合えばいいなと願いつつ、前回全日本を観に行ったときの記憶を頼りに新幹線と電車を乗り継ぎ何とかさいたまスーパーアリーナに到着しました。

【会場に入って感じた違和感】

会場に入ると羽生くんのショートの曲が聞こえ、入口から遠い天井席を取ってしまった自分を恨みつつ、急いでエスカレーターに乗り自分の席へ向かうとちょうど演技が終わるところで、演技後の観客の様子で何かあったんだなとわかりました。

ノーミスの演技ならもっと会場は盛り上がってたはずだろうと思いつつ、演技の振り返り映像を見ると4回転で転倒しているところが映り、ああこのミスがあったからかと納得し、この転倒を見なくて済んだのはある意味ラッキーだったのかなと思うことにしました。

しかしミスがあっても91点台の高得点で2位につけ、さすがソチオリンピックの金メダリストだなと思いつつ、1位は町田くんだったらいいなと願いながら、次のペーター・リーベルスの演技を迎えました。

【ソチオリンピックで最も印象に残った男子の演技】

ソチオリンピックの男子は優勝した羽生くんも含め、どの選手もミスが出る大混戦となりましたが、そんな中で個人的に一番印象に残ったのは、リーベルスさんのショートの演技でした。

「クロックス」の美しく疾走感のある音楽と爽やかなブルーが映える綺麗なグラデーションの衣装が凄く好みで、音楽から衣装までまさに私の理想を具現化したようなこの作品を、オリンピックという大きな舞台で4回転からのコンビネーションを含め全てミスなくこなし、それほど名前の知られていなかったリーベルスさんの鮮烈な演技が男子では一番輝いて見えました。

その作品を生で観られるということで期待していると、曲が流れた瞬間からオリンピックの記憶が走馬灯のように蘇り、4回転トウループなどのジャンプでミスはありましたが、綺麗な音楽や衣装を純粋に楽しむというフィギュアを観始めた頃の初心を思い出させてくれる素敵な演技でした。

続いてハビエルが得意のコミカルな曲に乗せて4回転サルコウを鮮やかに決めると、その後もミスなくこなし96点台の高得点で2位につけ、さらに最終滑走のハン・ヤンもトリプルアクセルに4回転トウループと迫力あるジャンプを次々と決めて、ノーミスの素晴らしい演技で男子ショートは幕を閉じました。

そして最終結果が映し出されたスクリーンを目を凝らして見てみると、町田くんが何と98点台というとんでもない得点でトップに立っていて、見届けることはできなかったけど無事良い演技ができたんだなと一安心し、男子ショートは少ししか観られませんでしたが素敵な演技をいくつも観られて幸せな気分で会場を後にしました。


こうして短くも充実した時間を過ごすことができた男子ショートを終え、翌日から本格的に観戦する様子は次回お話しします。

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Friday, August 5, 2016

世界選手権デビューは予想外の結末


ジュベールの貫禄の演技とそれを惜しみなく賞賛する観客の熱気を目の当たりにし、押し寄せる感情の波に飲まれそうになっていた世界選手権の男子フリーですが、まだ最終グループは終わってないんだと気合を入れ直して最終局面に臨みました。

【ロンドンワールド最大の番狂わせ】

ジュベールの低得点に対するブーイングで会場が異様な空気に包まれる中、ショートで素晴らしい演技を見せ2位につけたテンくんが登場しました。

ショートと合わせて二部作となっている「アーティスト」の音楽に乗せ、冒頭の4回転とそれに続く2本のトリプルアクセルを美しく決めて勢いに乗ると、素晴らしい音感で見事に緩急をつけた表現で惹きつけ、音楽の魅力を最大限に引き出し観客を引き込んでいきました。

そして後半のジャンプも3回転が1つ2回転になった以外は全て完璧に決め、最後のジャンプを決めると荒ぶるステップで会場を盛り上げ、選手と会場が一体化した最高のエンディングを迎えました。

ショートではノーミスでもスタンディングオベーションが少なかったテンくんですが、フリーでは観客の心を見事につかみ会場は総立ちで、やっと彼が認められたと嬉しくなりました。

本人も会心の演技に何度もガッツポーズを繰り返し、氷にキスして喜びをかみしめていました。

これはすごい得点が出そうだと期待していると、170点を超える高得点が出て会場は大興奮となり、さらに最終滑走者を残し暫定2位となり表彰台が確定すると、会場から大きな悲鳴が巻き起こりました。

私もようやくテンくんが世界の舞台で結果を出せたんだと感無量になり、順位が出た瞬間他の観客と同じく悲鳴を上げ、いろんな思いがこみ上げ号泣してしまいました。

一つの才能が花開く瞬間はこれだけ感動的なものなんだと肌で感じ、覚醒する瞬間をこの世界選手権で見せてくれたテンくんには本当に感謝しています。

羽生くんやジュベールは音楽を自分の色に染めることによって観客を引き込むタイプですが、テンくんは抜群の音感で音楽の魅力を最大限に引き出し、どんなに荒ぶっても一つ一つの動きが音をうまくとらえており、体から音を奏でているかのような表現で魅了するタイプの選手だと思います。

この世界選手権だけで男子シングルの様々な個性を感じることができ、フィギュアスケートって面白いなと改めて実感しました。


【カナダ勢の活躍と新たな選手の躍進】

そしてテンくんの大躍進に盛り上がる中最終滑走で登場したのは、自国開催の世界選手権のショートで自己最高の演技を見せ、カナダ人の観客の期待に見事に応えたケヴィンでした。

ショートと同様に物凄い歓声で迎えられたケヴィンでしたが、フリーではパトリックと同じくミスが重なり、四大陸選手権の再現とはなりませんでした。

ですがショート3位の得点と合わせて最終順位は5位と自己最高の成績を収め、パトリックもショート1位の貯金で逃げ切り見事3連覇し、カナダ勢は素晴らしい結果となりました。


そして日本勢は羽生くんが4位で最高順位となり表彰台は逃しましたが、大ちゃんが6位で無良くんが8位という結果で、みんなの頑張りが実り無事3枠を確保することができました。

そしてショートとフリーで見事に「アーティスト」の作品を完成させたテンくんは、ショート2位でフリーは1位という素晴らしい成績で、総合で2位となり世界選手権初のメダルを獲得しました。


今回の世界選手権は様々な番狂わせがあり予想外の結果となりましたが、お気に入りの選手の素晴らしい演技を生で見ることができ、さらに新たな選手の躍進を目撃することができて、見に来て良かったと心から思いました。


そして次のオリンピックシーズンではまた新たな選手の躍進を目の当たりにし、その選手にどんどんハマっていくことになるのですが、そのきっかけとなった演技について次回はお話ししたいと思います。

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Tuesday, August 2, 2016

フィギュアスケートの醍醐味


羽生くんの全身全霊の演技に心を揺さぶられ、すでに満足感で満たされていた世界選手権の男子フリーですが、まだまだ上位選手が控えているため、気持ちを切り替えて最終グループに臨みました。

【世界選手権で感じたカナダ独特の空気】

最終グループには地元カナダの2選手が入り、まず前回の世界王者パトリックが登場しました。

ショートでは物凄い声援に見事に応える素晴らしい演技を見せたパトリックでしたが、再び大歓声に迎えられたフリーではミスを連発してしまい、演技が終わった時は周りのカナダ人も「こりゃダメだ・・・・・・。」とつぶやいていました。

しかしカナダ人は演技内容に落胆していたにもかかわらず、一斉に立ち上がってスタンディングオベーションを送っており、普段は内容の良い演技にしかスタンディングオベーションをしない私も、周りにつられて立ち上がって拍手しました。

このときはアメリカとカナダでしか観戦経験がありませんでしたが、どんな演技内容でも自国選手には全員にスタンディングオベーションを送るというのは、カナダ独特の文化だなと日本で観戦を重ねた今でも思います。

【カナダの観客を唸らせた元世界王者の貫禄】

そんな独特の文化に触れつつ次の滑走のジュベールに向けて気合を入れ直し、これが彼にとって最後の世界選手権の演技になるとは知らず、ただただ良い演技ができるようにと固唾を飲んで見守りました。

ドラマチックな「グラディエーター」の音楽に乗せて、冒頭の4回転を決めると勢いに乗り次々とジャンプを降りていき、さらに2本目の4回転でも何とかコンビネーションを付けると、そこからもジャンプを次々と成功させ大きなミスなく滑り切りました。

演技を終えるとショートと同じく観客をあおるように大きくガッツポーズし、会場も自国選手でないにもかかわらず最高潮の盛り上がりを見せ、長年憧れていたジュベールの貫禄の演技を目の当たりにした私は、夢のような気分でバナーを振り続けました。

このとき私はもちろんほとんどの観客が気づいていませんでしたが、おそらく予定していた4回転サルコウが3回転になった影響で、ザヤックルールに抵触しジャンプ1本が無効となってしまい、見た目には素晴らしい演技内容にもかかわらず得点が伸びませんでした。

あまりに低い得点に客席からはブーイングが巻き起こり、私も得点に納得できず悔しさを感じていましたが、それ以上に自国選手びいきのカナダ人がブーイングしてくれたことに感動し、この悔しさをカナダ人と共有できて元気づけられました。

ジュベールの人気はただ単に元世界王者だからというだけではなく、今大会でも2度の4回転に挑むなど4回転へのこだわりを持ち続け、周りに流されることなく自分のスタイルを貫いてきたことで、一流選手としての貫禄を身に付けてきたこれまでの努力の賜物だと思います。

Brian Joubert sur papier glacé

後にこれがジュベールにとって最後の世界選手権だったと知り切なさに襲われましたが、彼がカナダで自国選手と同等の支持を得ているのを肌で感じることができ、彼は世界選手権優勝やフリーで3度の4回転成功など素晴らしい功績を残しつつも、記録よりも記憶に残る選手だなと実感しました。

これはスポーツと芸術の融合であるフィギュアスケートにおいては重要なことで、このような選手と出会えることがフィギュアスケートの醍醐味だと思います。


生観戦独特の空気とともに押し寄せる感情の波にこの時点で飲まれそうになっていましたが、最終グループではこの後さらなるドラマが待ち構えており、長くなってしまいますので結末は次回お伝えしたいと思います。

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Thursday, July 28, 2016

生観戦で唯一無二の魅力を再認識した選手


万全の態勢で観戦に臨んだ初めての世界選手権では、波乱の幕開けとなった男子ショートを目の当たりにし、日本男子の3枠維持とお気に入りの選手の健闘を祈りつつ、いよいよ勝負の男子フリーの日を迎えました。

男子ショートの前は初めての世界選手権の観戦に浮き足立っていましたが、日本男子3枠の危機という予想外の展開でフリーを迎えることとなり、ショートとフリーを通して観戦するのが初めてだった私は、これまで味わったことのない緊張感とともに会場へと向かいました。


【苦しみながらも底力を見せつけた全身全霊の演技】

お気に入りの選手の中で最初の滑走となったのは、まさかの前回の世界選手権で銅メダルを獲得した羽生くんでした。

確かに前回の世界選手権もショートで出遅れて、フリーでは最終グループに入れませんでしたが、このシーズンはショートで何度も世界記録を更新していたので、こんなに早い滑走順になるとは予想していませんでした。

このとき怪我を抱えていて状態が良くなかった上に、日本男子の3枠も危ういというプレッシャーのかかる状況で、見ているこちらも胃が痛くなるような緊張感の中、ただただバナーを握りしめて祈ることしかできませんでした。

そして静かに響き始めた「ノートルダム・ド・パリ」の旋律に乗せて、最初の4回転トウループを成功させて音楽も盛り上がってくる中、鬼門の4回転サルコウも何とか降りて前半は大きなミスなく乗り切りました。

そしてこの作品で私の一番のお気に入りの部分である、心がざわめくような曲調とともに後半の演技に入りましたが、ここからも何とかこらえながら次々とジャンプを決めていき、追いつめられたときに発揮する人間の底力を目の当たりにしました。

最後のジャンプを決めると会場の興奮は最高潮となり、演技が終わったときには一つのドラマを見終えたような感覚で、背水の陣で臨んだであろう羽生くんの心情を思い、涙をこらえながら精一杯バナーを振り続けました。

ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2013年   Beautiful Moments of Figure Skating Year 2013  2015/7/8 (Beautiful Moments of Figure Skating)

【音楽に命を吹き込み一つの物語を生み出す選手】

前回の世界選手権はお茶の間観戦でしたが、その時も彼のフリーを見て映画を鑑賞したような満足感で満たされ、音楽と彼の生き様が重なることによってその作品が彼の色に染まり、一つの物語として感情移入させられるのが彼の最大の魅力だと思います。

この全身全霊の演技を目の当たりにし、作品にどんどん引き込まれていくのを肌で感じ、彼の唯一無二の魅力を再認識しました。


この段階ですでに心が揺さぶられ気力を奪われていましたが、さらに予測不能の展開を迎える最終グループの様子は次回お話しします。

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Saturday, July 23, 2016

世界選手権デビューは波乱の幕開け


お気に入りの男子選手にケヴィンが加わり、俄然気合を入れて世界選手権の初観戦に臨むべく、試合前日は宿泊先のホテルでバナー作りに取り組んでいました。

これまでは小さい国旗や布にマジックで名前を書き込むという即席バナーでしたが、今回は遠くからでも見えるよう大きめの国旗を用意し、さらにラメの入った色付きの紙で選手の名前を一文字ずつ作り、それぞれの選手の国旗に貼り付けていきました。


こうして準備万端で会場に乗り込み、前回と同じくリンクが遠いなと思いつつ、初めての世界選手権ということで興奮を抑えきれませんでした。


【次々と主役が入れ替わる白熱の試合】

そしていよいよ試合が始まり、カナダ人の物凄い声援に迎えられて登場したケヴィンは、「チャンバーメイド・スイング」の音楽に乗せて果敢に2本の4回転に挑み、2本目の4回転の着氷で少しミスが出た以外はクリーンに滑り切りました。

世界で初めてショートで2本の4回転を成功した選手として誇りを持ち、自国開催でプレッシャーのかかるワールドでも自分のスタイルを崩さず、カナダ人の観客の前で良い演技を見せられたことに感動し、大声援を送るカナダ人に混ざってバナーを振り続けました。

そしてケヴィンがパーソナルベストを更新し会場が盛り上がる中、次はジュベールだと気持ちを切り替えてバナーを用意し、ファンになってから6年を経て、ようやくジュベールの演技を拝むこととなりました。

長く応援してきた選手だけあって登場したときの感動はひとしおで、天井席にもかかわらず一目見た瞬間に鳥肌が立ち、「本物のジュベールだ!」と興奮していたのを今でも覚えています。

ケヴィンへの物凄い声援の後でしたがジュベールは動じることなく、「ジェネシス」の音楽に乗せて4回転を含むジャンプを全て決め、最後は観客をあおるようにガッツポーズしました。

選手として決して若くはないにもかかわらず4回転にこだわり続け、元世界王者としての貫禄を見せつけるような演技に、カナダ人の観客も熱い声援を送っており、私も生でジュベールのノーミス演技を見て有頂天になり、無心でバナーを振り続けました。

【海外勢の活躍と日本勢に立ち込める暗雲】

そして羽生くんの出番に備えてバナーを用意しつつ、世界新記録を更新し続けてきた「パリの散歩道」をようやく見られると期待していましたが、鉄板だったショートでまさかのミスが続き、信じられないような得点と順位に動揺が隠せませんでした。

そんな不穏な空気の中次に登場したのはデニス・テンでしたが、「アーティスト」の音楽に乗せた彼の演技は素晴らしく、4回転などのジャンプを全て決めただけでなく、彼の優雅な表現にも魅せられました。

これは当然スタンディングオベーションだろうと思いましたが、彼が当時カナダであまり有名ではなかったのか周りは誰も立ち上がらず、一人立ち上がる勇気もなく座ったまま精一杯拍手を送りました。

すると90点を超える高得点が出て、自分の目は間違ってなかったなと少し救われました。

そして最終滑走のパトリック・チャンの登場で会場は最高潮の盛り上がりとなりましたが、彼はその自国開催のプレッシャーに負けることなく、「エレジー」の音楽に乗せて素晴らしい滑りを見せ、カナダ人の期待に見事に応えて見せました。

そして当然のようにパトリック1位、そしてケヴィンが見事3位となり、カナダ勢にとっては順調な滑り出しとなりましたが、日本勢は高橋大輔さんが4位に踏みとどまったものの、羽生くん9位、無良崇人選手11位と、まさかの3枠が危うい状況となりました。


こうして波乱続きの男子ショートが終わり、不安を抱えながら迎えた男子フリーの様子は次回お伝えしたいと思います。

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