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Wednesday, January 18, 2017

おそロシア時代の到来を確信した演技

パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 オリジナル・サウンドトラック

オリンピックシーズンの集大成となった2014年の世界選手権を3日間現地観戦し、男子はソチオリンピックの金メダリストである羽生くんが激戦を制し、羽生くんのスケート人生において大きな意味を持つワールドのタイトルを勝ち取る瞬間を目の当たりにしましたが、女子フリーだけは現地で観られなかったので自宅で見届けていました。

女子はショートで世界記録を更新した真央ちゃんを始め、カロリーナ・コストナーやユリア・リプニツカヤなどオリンピックのメダリスト達が注目を集める中、女子フリーで目を引いたのはソチオリンピックにも出場していなかったロシアの若手、アンナ・ポゴリラヤでした。

【ロシア女子の脅威を感じた演技】

「パイレーツ・オブ・カリビアン」の迫力ある音楽に乗せてポゴちゃんの演技が始まると、15歳とは思えない大人びた雰囲気と独特のオーラに惹きつけられ、冒頭のトリプルルッツ-トリプルトウループを鮮やかに決めると、さらに畳みかけるようにトリプルループ-シングルループ-トリプルサルコウの3連続も見事に決めました。

序盤から高難度ジャンプが続く見ごたえのあるプログラムにあっという間に引き込まれていき、2本目のトリプルルッツも軽やかに決めると、長い手足を生かしたスピンや全身を大きく使ったステップで惹きつけ、そのダイナミックな演技は曲の迫力にも負けておらず大器の片鱗を感じました。

そして神秘的な曲調に変わり後半に入ると、トリプルループに片手を上げたダブルトウループをつけて美しく決めて、さらにダブルアクセルを決めるとスタイルの良さが映えるスパイラルで魅了し、2本目のダブルアクセルとトリプルフリップも決めて恐るべき安定感を見せました。

続いて美しいレイバックスピンを披露すると再び迫力ある曲調に変わり、最後は長い脚を高速で勢いよく回すド迫力のスピンで、手足が長すぎてコントロールしきれていない様子でしたが、粗さがありながらも15歳とは思えない堂々たる演技で観客を魅了しました。

【ロシア女子の台頭を確信した瞬間】

この「パイレーツ・オブ・カリビアン」は迫り来る恐ろしさを感じるような曲調のプログラムでしたが、ダイナミックな演技で曲負けしないオーラを放つポゴちゃんにただならぬものを感じ、また後半の神秘的な曲調では15歳とは思えないほど妖艶で謎めいた雰囲気に惹きつけられ、このプログラムにはロシア女子の底知れぬ怖さと魅力が詰め込まれているなと感じました。

この圧巻の演技で131点台という高得点を叩き出してフリーでは3位となり、総合得点は4位で惜しくも表彰台を逃しましたがフリーの技術点では優勝した真央ちゃんを上回ってトップとなり、このシーズンのオリンピックと世界選手権ではロシア女子は2枠しかありませんでしたが、ポゴちゃんのこの演技を観てこれから女子はおそロシアの時代がやってくるなと確信しました。


ここまで2014年の世界選手権について振り返ってきましたが来週からヨーロッパ選手権を観戦する予定なので、次回からはヨーロッパ選手権についてお話ししたいと思います。

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Monday, January 2, 2017

本当の意味でのフィギュアファンとは

改訂版 - "Beautiful moments of figure skating Winter Olympic Games Sochi 2014 (Revised Edition)' ソチオリンピック2014年フィギュアスケート写真集 (Beautiful moments of figure skating Winter Olympic Games Sochi 2014)

世界一過酷なオリンピック代表選考会となった2013年の全日本を経ていよいよ2014年のソチオリンピックを迎えましたが、大好きな美姫ちゃんがいないオリンピックを観るのは初めてで、特に女子は誰を応援するというわけでもなくフラットな目線で観ていましたが、ショートでは予想外の展開に驚きを隠せませんでした。

それは金メダルが期待されていた真央ちゃんが冒頭のトリプルアクセルで転倒してしまい、さらに最後のトリプルループからのコンビネーションがダブルループに抜けてコンビネーションにできず、立て続けのミスで得点を大きく失い、ショート16位という信じられない順位に沈んでしまったことでした。

トップの選手達とは20点近く離されてしまい、金メダルどころか表彰台すら絶望的な状況でフリーを迎え、第2グループという誰も予想していなかった滑走順で登場した真央ちゃんを、テレビの前で固唾を呑んで見つめていました。

【背水の陣で臨んだ決死のフリー】

「ピアノ協奏曲第2番」に乗せて真央ちゃんの演技が始まり、冒頭のトリプルアクセルを見事に決めると、続くトリプルフリップ-トリプルループのコンビネーションも決め、さらにトリプルルッツも決めて順調な滑り出しを見せました。

そしていよいよ大事な後半に入り、ダブルアクセル-トリプルトウループのコンビネーションを決めると、続くトリプルサルコウも鮮やかに決めて、畳みかけるようにジャンプを次々と決めていく真央ちゃんに夢中になっていました。

さらに盛り上がる音楽とともに緊張感が高まる中、トリプルフリップ-ダブルループ-ダブルループの3連続も決めていよいよ最後のジャンプ、トリプルループを見事に決めると鳥肌が立ち、最後のステップはあまりに神々しく一人の人間が神になる瞬間を目撃している気がしました。

しかし演技が終わり涙する真央ちゃんを見て、ああやっぱり人間なんだなと思って涙がにじみ、演技後しばらく言葉を発しなかった実況のアナウンサーが、「これが浅田・・・・・・真央です。」と絞り出すように言った言葉が頭から離れませんでした。

Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2014年 3/13号 [雑誌]

女子では誰も飛んでいなかったトリプルアクセルにショートから果敢に挑み、フリーでは全種類のトリプルジャンプを入れるという史上最高難度のジャンプ構成を見事にやってのけ、確実に勝ちに行く構成ではなく自分のこだわりを守り抜く構成を選んだ真央ちゃんは、誰よりもアスリートらしいアスリートだなと思いました。

【フィギュアに対する意識が変わった瞬間】

この圧巻の演技で142点台と自己最高得点を叩き出し6位まで順位を上げましたがもう得点や順位などはどうでもよく、演技後には杉浦アナが涙声で言葉を詰まらせながら話していたのが印象的で、真央ちゃんの人気はトリプルアクセルが飛べるからとか純粋で可愛らしいからとかそんな単純なものではなく、苦しみもがきながらも自分を貫き続ける姿が多くの人の心を動かしてきたんだなと実感しました。

私はフィギュアを観始めたときからずっと美姫ちゃんに夢中でしたが、美姫ちゃんへの思い入れが強すぎるあまり他の女子選手の演技としっかり向き合っていなかった気がして、これまでの私はフィギュアファンではなく美姫ちゃんファンだったのかなと感じ、これからは全ての選手と向き合う本当のフィギュアファンになりたいなと思わせてくれた真央ちゃんの演技でした。

ラフマニノフ : ピアノ協奏曲 第2番 | 第3番 (Rachmaninov : Concertos pour piano 2 & 3 / Boris Berezovsky (piano), Dmitri Liss (direction), Orchestre Philharmonique de l'oural) [輸入盤]
ラフマニノフ : ピアノ協奏曲 第2番 | 第3番 (Rachmaninov : Concertos pour piano 2 & 3 / Boris Berezovsky (piano), Dmitri Liss (direction), Orchestre Philharmonique de l'oural) [輸入盤]

こうしてフィギュアに対する見方が変わったオリンピックを経て、オリンピックシーズンの集大成となる世界選手権の観戦に臨む様子は次回お伝えします。

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Thursday, September 8, 2016

男子フィギュア界の勢力図が変わった瞬間

ワールド・フィギュアスケート 62

オリンピックシーズンのグランプリファイナルで、男子フリーでは各選手がクラシックに乗せた個性的な演技で魅了していく中、いよいよ優勝が決まる最終局面を迎えました。

【力尽きるまで攻め続けた若き才能】

最終滑走はショートで圧倒的な演技を見せて世界記録を更新し、堂々の首位でフリーを迎えた日本期待の星羽生くんが登場し、赤や黄色などカラフルなストーンが散りばめられた女性が着るような華やかなデザインの衣装を、独特の中性的な雰囲気で見事に着こなしていました。

2シーズン前とは別バージョンの「ロミオとジュリエット」に乗せて、勢いよく最初の4回転サルコウに挑みましたが転倒、しかしすぐさま立ち上がり次の4回転トウループは見事に決め、続くトリプルフリップも決めて勢いに乗っていきました。

後半もトリプルアクセルからのコンビネーションを立て続けに決めると、高難度ジャンプを次々と成功させて最後のジャンプも決め、終盤の見せ場では美しいイナバウアーで観客を引き込みました。

珍しく最後のスピンでぐらつき、フィニッシュでは生まれたての小鹿のような状態で力尽きているのを見て、2シーズン前のロミオとジュリエットでも最後にばてていたのを思い出して懐かしくなりました。

【無敵の世界王者の地盤を揺るがす大金星】

この素晴らしい演技でパトリックを上回る193点台の高得点を出し、予想外の点数に本人は納得していない様子で表情を曇らせて首を横に振っていましたが、大事なオリンピックシーズンのグランプリファイナルで見事に優勝を決めました。

点数に納得していない彼を見て、以前全日本で自分の点が出過ぎだと言っていた小塚くんを思い出し、日本人選手はこういう素直で謙虚なところが良いなと思いました。

確かにホームということで点数が高くなったのかもしれませんが、ショートでの貯金があったのでこれがホームの試合でなくても彼が優勝していたと思います。

そして今までミスをしても圧倒的な実力で勝ち続けていたパトリックがほぼ完璧なフリーを見せたにもかかわらず、フリーでミスをした羽生くんがそのパトリックを破って優勝したというのが何より大きいと思います。

この大会でこれまでパトリックが絶対王者として君臨していた男子フィギュア界の勢力図が変わり、羽生くんがパトリックを脅かす存在になった瞬間を目の当たりにして、これは男子フィギュアの一大転機になったなと感じました。

そんな瞬間を目撃することができた観客の皆さんが羨ましいですし、上位3選手だけでなく町田くんの演技も素晴らしかったこの大会は、もし過去の男子の試合を一試合だけ生観戦できるなら間違いなくこの試合を選ぶと言えるほど、素晴らしい演技が多く見ごたえのある大会だったと思います。


そんな試合をお茶の間で見ていて現地観戦したい気持ちが抑えられず、ついに初めて全日本のチケットを取り、オリンピックシーズンの死闘を目撃する様子は次回お話しします。

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Wednesday, September 7, 2016

クラシックに乗せて個性を見せる選手達

ロッシーニ序曲集

序盤から想いのこもった芸術作品に心を動かされ、日本勢のさらなる活躍に期待がかかるグランプリファイナルの男子フリーでは、いよいよ優勝争いが佳境を迎えました。

【失敗しても諦めない強さを見せた二日間】

日本人二番手として登場したのは、ショートでは最初の4回転で転倒したものの3位に踏みとどまり、優勝を狙える位置に付けた織田くんでした。

今日こそは4回転が決まりますようにと祈りながら迎えたフリーでは、「ウィリアム・テル序曲」に乗せて軽快に滑り出し、このまま勢いに乗って行くかと期待が膨らむ中、最初の4回転で再び転倒してしまいました。

しかし転倒後すぐさま立ち上がり、曲が盛り上がっていく中再び挑んだ4回転では3回転を付けて見事に決め、続くトリプルアクセルも膝のクッションでうまく着氷してコンビネーションにつなげ、勢いを取り戻していきました。

後半もトリプルアクセルを皮切りに美しい猫足着氷で次々とジャンプを決めていき、トリプルループで両足着氷になった以外は見事な出来で、最後のジャンプが決まると有名なフレーズと共に笑顔で見せ場のステップに入り、躍動感あふれる演技で観客を盛り上げていきました。

演技後は足を引きずっていて少し心配でしたが、175点台という高得点で表彰台が確定して本人も嬉しそうで、昨日と同じで最初の4回転で転倒して目が覚めたという愛嬌あるコメントには癒されました。

【安定感を手にした盤石の世界王者】

続いて登場したのは日本勢の最大のライバルで、このオリンピックシーズンも世界記録を更新し続け、ショートは2位でしたが優勝候補筆頭のパトリックでした。

世界記録を更新した盤石のフリー「四季」では、最初の4回転からのコンビネーションで3回転が2回転になったものの、続く4回転とトリプルアクセルを見事に決め、序盤から衣装をはためかせるほどの疾走感で観客を引き込んでいきました。

後半のスローパートでも次々とジャンプを決めていき、雄大に泳ぐイルカのように縦横無尽にリンクを駆け回り、再び盛り上がる曲とともに最後のジャンプを決めると前回と同じく見事なクライマックスで観客を惹きつけ、最後のスピンでぐらつきましたが今回も素晴らしい演技でした。

ようやく日本で良い演技ができたと本人も嬉しそうで、自身が更新した世界記録に迫る192点台という素晴らしい得点で優勝に大きく近づきました。

Vivaldi: Le quattro stagioni / Albinoni: Adagio / Corelli: Christmas Concerto

次々とクラシックに乗せた素晴らしい演技が続く中、この後さらなるドラマが巻き起こりますが、長くなりますので結末は次回お伝えします。

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Friday, August 26, 2016

様々な想いで彩られた極上の芸術作品

ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2013年   Beautiful Moments of Figure Skating Year 2013  2015/7/8 (Beautiful Moments of Figure Skating)

オリンピックシーズンにグランプリファイナルが日本で開催されるという、日本のフィギュア界に追い風が吹いている状況の中、日本勢にとっては悲喜こもごもの男子ショートを終え、いよいよ勝負のフリーを迎えました。

【追い詰められたときに力を発揮できる強さ】

ショート最下位でフリー第一滑走となったのは、まさかの日本勢トップでファイナル進出を決めた町田くんでした。

固唾を飲んで見守ったフリーの「火の鳥」では、冒頭の4回転トウループを綺麗に決めると、2本目の4回転に2回転を付けてコンビネーションにして、初めて4回転を2本とも完璧に成功させました。

続くトリプルアクセルに3回転を付ける予定が2回転になったものの、前半のジャンプにミスが出なかったことで勢いに乗り、後半のジャンプも一つ一つ丁寧に決めていき、細かい手の動きを織り交ぜた華麗な振付で観客を魅了していきました。

後半は3連続のジャンプが2連続になりましたが、それ以外は予定通りの構成で全てのジャンプを綺麗に決め、フィニッシュでためてポーズを取った後、両手で顔を覆いうずくまりました。

前日のショートの不調から立て直すのがどれだけ大変だったか、感極まる彼を見ているとその想いが伝わってくるようで、見ているこちらまで感極まってしまいました。

【演じる人と見守る人それぞれの想い】

このファイナルでも解説の佐野稔さんが「火の鳥が飛び立ちましたよ!」と大絶賛で、実況のアナウンサーも思わず「まつき」と名前を間違えるほど大興奮でしたが、町田くんだけでなく稔さんも涙しているとのアナウンサーの言葉を聞いて、長年町田くんを見守ってきた稔さんの想いが伝わってきました。

演技後のインタビューでは日本開催のため恩師や家族が見に来ていると話しており、さらに日本のファンも見守る中ショートで力を出せなかったことが悔しく、フリーに全てをぶつけて今までの想いを身体表現で語ったとの言葉に、日本開催の試合にかける強い想いがこの美しい演技を生んだのかと感銘を受けました。

このときの「火の鳥」はジャンプを含む全ての要素を加点付きで綺麗にまとめ、中盤のキャメルスピンで右手を羽のようにひらひらとはためかせたり、トリプルルッツの直後に両手をくるくると華麗に回したりと、細かい振付も丁寧に表現していて美しく洗練された極上の作品に仕上がっていました。


そんな様々な想いがこもった芸術作品を堪能した後は、いよいよ熾烈な優勝争いが佳境を迎えますが、思いがけない展開となったフリーの続きは次回お話しします。

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Tuesday, August 23, 2016

日本開催の試合で見た天国と地獄

羽生結弦「覚醒の時」 (通常版) [DVD]

グランプリシリーズは世界王者パトリックが歴代最高得点を次々と塗り替え、圧巻の演技で当然のように総合1位でグランプリファイナル進出を決めましたが、日本勢もこれまでにないほど選手層が厚くなり全大会で日本人が表彰台に上がり、日本からは3選手がグランプリファイナル進出を決めました。

【世界最高の選手層を誇る日本男子】

日本人でトップとなったのはスケートアメリカでの大躍進で勢いに乗り、ロステレコム杯でも優勝してパトリックと同じく2戦2勝という結果で、総合2位となり文句なしにファイナル進出を決めた町田くんでした。

これまで世界選手権の代表にも選ばれたことのなかった彼が、オリンピックシーズンに日本勢トップでファイナルに進んだという事実は、日本の男子フィギュアの選手層の厚さを示すと同時に、オリンピック代表争いの過酷さを物語っていました。

続いて総合3位でファイナル進出を決めたのは、2戦パトリックと当たるという難しい状況の中、彼の世界記録更新の演技を目の当たりにしながらも、2戦とも2位に踏みとどまった羽生くんでした。

そして日本人3番手で出場を決めたのは、NHK杯で貫禄の演技を見せ見事優勝した大ちゃんでしたが、残念ながら怪我のため欠場することになりました。

そんな大ちゃんの代わりに繰り上がりで出場することになったのは、同じくNHK杯で素晴らしい演技を見せ2位となった織田くんでした。

日本人選手の欠場を日本人選手がカバーすることになったというのは、これも日本の男子シングルの層の厚さを示しており、さらにNHK杯で大ちゃんと織田くんの活躍を生で観た私は、より感慨深いものがありました。

【日本開催のファイナルは波乱の幕開け】

福岡での開催となったファイナルでは日本勢に大きな期待がかかる中、最初に登場した織田くんは最初の4回転で転倒したものの、その後はうまく立て直して何とか80点台に乗せ、4回転で転倒して目が覚めたというコメントが印象的でした。

その後も各選手ミスが出て調子が上がらない中、羽生くんがもはや鉄板ともいえる「パリの散歩道」で、再び歴代最高得点を更新する素晴らしい演技を見せ、一皮むけて貫禄のある選手に成長したなとしみじみ感じました。

その次の滑走となったのは日本勢トップの町田くんでしたが、冒頭の4回転トウループが2回転になってしまった上に、最後のジャンプにも2回転トウループを付けたためノーカウントとなってしまい、技術点をほとんど稼げず信じられないような得点で最下位となってしまいました。

結局ショートでは羽生くん以外の選手はミスが出て調子が上がらず、羽生くんがぶっちぎりのトップでフリーを迎えることになりました。


日本開催のファイナルを最高の演技でスタートした羽生くんの直後に、シーズン初めの勢いからは信じられないほどの不調で最下位に沈んだ町田くんという、日本人にとっては立て続けに天国と地獄を味わうようなショートとなりましたが、さらにドラマチックな展開となったフリーについては次回お伝えします。

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Wednesday, August 17, 2016

世界王者が世界王者たる所以

ワールド・フィギュアスケート 58

私が男子フィギュアに注目して見始めたのは2011年以降ですが、その頃から男子フィギュア界に君臨し続けている選手がいました。

それは地元カナダでのオリンピック以降4回転を身に付け、上質のスケーティングを武器に世界選手権を3連覇した、パトリック・チャンです。

しかし彼が世界選手権で完璧な演技をするのを見たことがなかった私は、彼の世界王者としての実力がいまいちわかっておらず、これまであまり注目して見ていませんでした。

そんなパトリックがオリンピックシーズン序盤に、世界記録を更新したという演技をたまたま目にしました。

【男子フィギュアの頂点に君臨する世界王者の圧巻の滑り】

それは2戦とも羽生くんとの直接対決となったグランプリシリーズで、ショートフリー共に圧巻の演技で世界最高得点を塗り替えた、エリック・ボンパール杯でのフリー「四季」でした。

静かに始まり盛り上がっていく曲とともにどんどん加速し、トップスピードから繰り出す大きな4回転を2本立て続けに決めると、有名な迫力あるフレーズとともにトリプルアクセルも見事に決めて、曲負けしない圧巻の滑りで観客を惹きつけていきました。

後半になると曲はスローパートに入り穏やかになる一方、パトリックはここでも広告が読めないほどのトップスピードでしたが、途切れることなくするすると滑っていくのを見るのは心地よく、その滑りで見事に曲の優雅さを表現していました。

そして再び盛り上がる曲とともに両腕を使った効果的な振付で引き込んでいき、最後のジャンプを決めクライマックスへと向かう曲とともに、ぐんぐんスピードを上げ大きく体を使って観客をどんどん惹きつけ、全身で表現する見事なクライマックスには鳥肌が立ちました。

この「四季」はCMなどで聴いたことがある程度でそこまで思い入れはありませんでしたが、極上の滑りと独特の振付で曲の魅力を最大限に引き出したパトリックの演技を見て、これまでクラシックにあまり興味がなかったにもかかわらず、全楽章の音源を探し出して聴くほどこの曲が大好きになりました。

【滑りを極めた選手が見せるフィギュアスケートの真骨頂】

私はもともと映画やミュージカルが好きなこともあり、これまで好きになった男子スケーターはジュベール、羽生くんそして町田くんといった、オーラや表現力でドラマチックに魅せるタイプの選手がほとんどだったため、スケーティングそのもので魅了するパトリックのような選手は新鮮でした。

しかし「フィギュアスケート」とはそもそも「滑る」競技であるため、滑る技術を極めたパトリックはフィギュアスケートの王道を行く選手であり、フィギュアスケートの真骨頂を見せている彼だからこそ、男子フィギュア界で世界王者として君臨してきたのだと納得しました。

パトリックの滑らかなスケーティングから生み出される柔らかい表現は、優雅で上品なクラシックの曲に自然と溶け込んでいき、曲そのものの良さを引き出し珠玉の作品に仕上げたこの「四季」は、クラシックの曲に乗せた演技としては最高峰のものだと思います。


こうしてグランプリシリーズでは世界王者が圧巻の滑りを見せましたが、グランプリファイナルの男子シングルでは3人の日本人選手の出場が決まり、彼らに期待がかかる日本開催のファイナルについて次回はお話しします。

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Monday, August 8, 2016

一目見た時から気になっていた選手の覚醒

ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2012年 Beautiful Moments of Figure Skating (Beautiful Moments of Figure Skating)

2012年に初めてフィギュアの試合を生観戦した時から、中毒的にハマって何度も繰り返し見てしまう演技がありました。

それは完璧な内容ではなかったにもかかわらず、躍動する手の動きと迫力ある首の動きにより、ダイナミックな曲調を見事に表現していた、町田樹さんの「火の鳥」でした。

【1年前に見た選手の目まぐるしい成長ぶり】

そんな町田くんが1年後のオリンピックシーズンに、同じスケートアメリカの舞台で大躍進していると聞き、さらにフリーは前のシーズンから持ち越しの「火の鳥」だと知り、気になってフリーの演技を見てみました。

そこにいたのは1年前から見違えるように成長し、4回転をバンバン決めて自信に満ち溢れ、一回りも二回りも強くなった町田くんの姿でした。

冒頭で2本の4回転を決めると勢いに乗り、盛り上がる曲調に見事に音ハメされた手と首の動きで観客を惹きつけ、トリプルアクセルからのコンビネーションも見事に決め、素晴らしい滑り出しを見せました。

そして後半もトリプルアクセルを綺麗に決めると、指先まで洗練された繊細な動きで優雅な曲調を引き立て、再び盛り上がる曲調と共に次々とジャンプを決めていき、最後のジャンプを決めると最高潮の盛り上がりとなりました。

最後のジャンプを終えてから演技が終わるまでは、1年前に初めて生で観た時のことを思い出し、1年でここまで成長できるんだと感銘を受け、こみ上げてくるものがありました。

【火の鳥と相性が良い居酒屋解説】

1年前の演技は佐野稔さん解説の動画を繰り返し見ていて、1年後のこの演技も稔さんの解説で見ていましたが、ジャンプが決まるたびに「綺麗でしたねー!」、「凄い!」などと褒めちぎり、演技が終わった瞬間「偉い!」と叫んでいました。

ファンの間では「居酒屋解説」などと呼ばれ、技術的な解説をほとんどしないため賛否両論ありますが、感情をむき出しにして思ったことをそのまま口に出す稔さんの解説は、こういったダイナミックな演技には合ってるなと個人的には思いました。

1年前のスケートアメリカでも解説をしていた稔さんは、「この1年間で町田くんは成長しまくりましたね!」と、実況のアナウンサーも苦笑いするほどのフランクな表現で称えていて、彼の成長に感銘を受けているのが伝わってきました。

そして演技後のインタビューで初めてしゃべる町田くんを観ましたが、しっかりした口調で率直な気持ちと強気な目標を語っており、「絶対にオリンピックスポットを勝ち取りたいと思います!」と宣言するのを見て、目標に向かって突き進む彼を応援したいと強く思いました。


オリンピックシーズンは新たな日本人選手の覚醒とともに幕を開けましたが、これまで次々と有力選手を輩出してきたフィギュア大国日本で、大激戦と言われているチケット争いに初参戦し、ようやく生観戦へと踏み出す様子を次回はお伝えします。

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Monday, July 18, 2016

世界選手権デビューへ向けて気になる選手

クロノ・トリガー(特典なし)

明子ちゃんの珠玉の作品を目の当たりにし、現地観戦の魅力を知ってしまった私は、翌年2013年の世界選手権がカナダ開催とわかり、またまた勢いでチケットを取りました。

今回の世界選手権は春休み期間中だったため、男女ショートフリー全て観戦することにしましたが、世界選手権ということでチケットの値段がとんでもなく高かったので、泣く泣く天井席を取ることにしました。

【ゲーム好きの心をつかむ選手の登場】

この世界選手権では特に男子で応援したい選手が多く、男子の3選手に絞って本格的に手持ちバナーを作りました。

まずは男子で初めて一目ぼれしたブライアン・ジュベール、そして私を男子フィギュアの世界に引き込んだ羽生結弦選手、さらに直前の四大陸選手権で素晴らしい演技をしたケヴィン・レイノルズです。

私はアニメ音楽やゲーム音楽が好きで、たまたま「クロノ・トリガー」の音楽で滑るのを見て、初めてケヴィンの存在を知りました。

クロノ・トリガー(特典なし)

そのときは選曲が良いのに加えて4回転を含む難易度の高いジャンプを軽々と飛び、さらにゲームの世界から出てきたような容姿も相まって、まさにクワドエルフというあだ名がぴったりだなと思いました。

カナダではパトリック・チャンが一時代を築いていましたが、ケヴィンもポテンシャルはかなり高いにもかかわらず、ジャンプの難易度が高すぎるせいか、なかなか試合で実力を出し切れず歯がゆさを感じていました。

【日本中のフィギュアファンの心をつかんだ演技】

そんな中迎えた大阪開催の四大陸選手権では、優勝候補の羽生くんがミスをしてしまい、優勝争いは混戦となりましたが、そんな中ケヴィンの出番がやってきました。

ケヴィンは「ピアノ協奏曲第4番」の音楽に乗せて次々と4回転を決め、初めてフリーで3本の4回転に成功しただけでなく、宮本賢二さん振付の長い手足が映える洗練された身体表現で魅了し、ようやくノーミスの演技を見せることができました。

演技が終わった瞬間の下から突き上げるガッツポーズ、そして観客の物凄い熱狂を目の当たりにし、本人そしてファンが待ち望んだ演技がようやく見れたんだなと、会場で見ているわけではないにもかかわらず感極まってしまいました。


この演技でケヴィンは羽生くんを抑えて優勝し、シニア初タイトルを飾りましたが、表彰式の際には日本のファンに「おめでとう!」「コングラチュレーション!」などと、自国選手でないにもかかわらず凄い声援をもらっていました。

海外の選手にもしっかり声援を送る日本のファンに感銘を受けただけでなく、日本語を学んだり日本のゲーム音楽を使ったりと日本好きのケヴィンだからこそ、ここまで日本のファンに愛されるんだろうなとしみじみ感じました。


この演技により男子のお気に入りの選手がまた一人増えて迎えた世界選手権、一人一人の演技に一喜一憂する男子ショートの様子は次回お話しします。

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Sunday, July 3, 2016

大好きな選手の休養中に心を動かされた選手

ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2012年 Beautiful Moments of Figure Skating (Beautiful Moments of Figure Skating)

大好きな美姫ちゃんが休養を発表した2011年、あまり力を入れずボーっと見ていたグランプリファイナルで、日本人選手の鮮烈な演技を目の当たりにしました。

【真剣なアスリートと無邪気な少年の2つの顔を持つ選手】

それはたまたま見ていたファイナルの男子フリーで、ドラマチックな音楽に乗せ4回転を含む高難度ジャンプを次々に決め、ステップでは儚さと荒々しさを兼ね備えた独特の個性で魅了した、羽生結弦選手の「ロミオ+ジュリエット」でした。

ロミオ&ジュリエット [DVD]

高難度ジャンプを次々と決めてジャンプの音ハメも素晴らしく、これはノーミスかと期待していたら最後のジャンプでぐらついてしまい、最後のポーズで両手を広げた後ムンクの叫びのようにペチンと頬を覆い、演技中の鬼気迫る表情とのギャップに一目ぼれしてしまいました。

ブロッコリーハイブリッドスリーブ エドヴァルド・ムンク「叫び」 リバイバル

採点待ちでこのムンクの叫びの表情が画面に映し出されたとき、その真似をして頬を覆っている姿も愛嬌があり、点数が出たときにはイエーイと大声を出して喜び、阿部奈々美コーチと抱き合う姿はほほえましかったです。

このプログラムは阿部コーチの振付と編曲が素晴らしく、10代の彼にしか出せない儚さと荒々しさを見事に表現していたと思います。

その後行われた全日本では、フリーの最後のジャンプでまたぐらついてしまい、同じミスをしたのが許せないのか本気で悔しそうな表情をしていましたが、それでも3位となり初めて表彰台に上がり、世界選手権への出場を決めました。

【脆さと強さと美しさを全てさらけ出した渾身の演技】

そして迎えた世界選手権では惜しくも最終グループ入りを逃し迎えたフリー、ここでも彼はジャンプを次々と決めて見せ場のステップで魅了し順調かと思われたそのとき、突然ビターンと派手に転倒、あまりのことに驚き思わず「頑張れ!」と念を送ってしまいました。

しかしそこからすぐさまトリプルアクセル-トリプルトウループを決め、見事なリカバリーを見せて鬼気迫る表情で最後のステップに入り、勝負となる最後のジャンプも見事に成功させ、ようやく全てのジャンプをノーミスで揃えることができました。

演技が終わると凄い形相で右手を突き上げ、俺が世界一だと言わんばかりに人差し指を高々と上げる姿には恐ろしさも感じつつ、その後観客にお辞儀する前に余韻を噛みしめるように目を閉じた時の美しい表情、そして阿部コーチとの抱擁は映画以上に感動的なシーンでした。

ワールド・フィギュアスケート 53

そしてこのフリーで物凄い追い上げを見せた結果、ショート7位からごぼう抜きして3位まで追い上げ、初出場で表彰台に上がるという快挙を成し遂げました。

今や世界新記録を更新し続ける偉大な選手となった羽生くんですが、私はこのシーズンの「ロミオ+ジュリエット」が男子フリーでは一番好きで、彼の個性が音楽や振付と見事に一体化したこのときの彼にしかできない演技で、私を男子フィギュアの世界に引き込んだとても大切な作品です。

ロミオ&ジュリエット ロミオ&ジュリエット(2)

そんな素敵な作品に出会い男子フィギュアにのめりこんでいった私が、ついに翌シーズン初の生観戦へと踏み出す様子を次回はお話しします。

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Tuesday, June 28, 2016

ポストオリンピックシーズンに強い選手

ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2011年   Beautiful Moments of Figure Skating Year 2011 (Beautiful Moments of Figure Skating)

ピーキングの時期は選手によって違いますが、特に女子は荒川静香さんやキム・ヨナ、アデリナ・ソトニコワなど、オリンピックにピークを合わせるのが上手い選手が多いなと思います。

そんな中、オリンピックの翌シーズンにピークが来る選手、それが私をフィギュアの世界へと導いてくれた安藤美姫さんです。

【オリンピックの翌シーズンに見せる他を寄せ付けない強さ】

私は美姫ちゃんにハマってからも時々試合をチェックするぐらいで、一試合も逃さず見るというほどではないライトファンだったのですが、2010年のオリンピック後のシーズンに関しては、ほとんど全ての試合を見ていたと思います。

このシーズンの美姫ちゃんは序盤から絶好調で、グランプリシリーズ2戦2勝でファイナルに進出し、ファイナルではショートプログラムを変更した影響で出遅れましたが、フリーは後半に5つのジャンプを入れる鬼構成を見事に滑り切りました。

そして全日本のフリーも素晴らしい内容で、演技後には渾身のガッツポーズを繰り出し、貫禄のある演技で見事優勝しました。

その後四大陸選手権も優勝し絶好調の中、3月に東日本大震災が起こり、私が住んでいた東北地方では電気が止まり、大学からの指示でしばらく地元に避難することになりました。

【震災後の日本を元気づけた世界選手権での勇姿】

震災により4年ぶりに東京で開催予定だった世界選手権は延期され、モスクワで開催されることになりました。

震災で大学の新学期開始も延期され、私生活にも影響が出ていましたが、世界選手権は何としてでも見たいと思い、地元で食い入るようにテレビを見ていました。

日本は大変な状況でしたが美姫ちゃんはそれでも強く、世界選手権でもフリー番長ぶりを発揮し2度目の優勝を飾りました。

ワールド・フィギュアスケート 48 

前回初優勝を飾ったのもオリンピックの翌シーズン、そしてこのときの優勝もオリンピックの翌シーズンと、見事にオリンピック後のシーズンにピークが来ており、この演技をオリンピックでできていればという思いもありました。

しかしこのシーズンはグランプリファイナル以外全勝と素晴らしい成績で、ファンとしてはこんなシーズンを見られて本当に幸せでしたし、特に震災により日本で開催できなくなった世界選手権では、彼女の活躍が私を含む多くの日本人を元気づけてくれたと思います。

そんな美姫ちゃんが世界女王としてエキシビションで滑った「レクイエム」、日本への思いが込められたあの演技は今でも心に残っています。

インタビューでは日本のことを思って涙ぐんでいて、彼女の思いが痛いほど伝わってきました。

Mozart: Requiem/Laudate Dominum

このシーズンは私自身が震災に直面したこともあり、美姫ちゃんのファンとしても一番印象に残ったシーズンでしたが、その後彼女は翌シーズンの休養を発表しました。

大好きな選手が休養して心にポカンと穴が開いた翌シーズン、ブログタイトル通り他の選手にゆらゆらと心が揺れ動く様子を次回はお伝えします。

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Thursday, June 23, 2016

男子で初めて好きになった選手

ワールド・フィギュアスケート 30

美姫ちゃん目当てで2007年の世界選手権を見ていましたが、ふと映った男子の優勝者、ブライアン・ジュベールを見て、「ハリーポッターの眼鏡外した感じ、すごいイケメン!」と一目ぼれしてしまいました。

ハリー・ポッターと炎のゴブレット [DVD]

それからも女子をメインに主要な試合をチェックしつつ、ジュベールのことも時々気にしていました。

【ハリーポッターを彷彿とさせるイケメン選手の挫折】

そして2010年のオリンピックを迎え、このときも私は女子に集中して見ていましたが、ジュベールがショート18位というのを知り、とてもショックを受けたのを覚えています。

当時私は大学生で、男子フリーは大学の休み時間に友達が携帯で見ていて、その子はフィギュアには詳しくなかったですがイケメン好きだったので、「この選手イケメンだよ!優勝候補だったけどミスしちゃったんだ。」と知ったかぶって紹介していました。

確かこのとき実況の西岡アナがジュベールを紹介する際、「この順位にいるのが信じられない選手です。」というようなことを言っていたのを覚えています。

そしてジュベールはフリーでもミスが出て本来の力を出し切れず、今までの戦績からは考えられない不本意な結果となってしまいました。

【曲に個性を乗せ光り輝く鮮烈の演技】

それから間もなく開催された世界選手権に満身創痍で挑んだジュベールは、ショートプログラムで4回転を含む全てのジャンプを決め、最後のジャンプが決まると思い切りガッツポーズし、そこから勢いに乗って駆け抜ける姿は本当に輝いていました。

私はこのショートプログラムの曲「Rise」が大好きで、その綺麗な旋律に乗せ次々とジャンプを決め、パーカッションに乗せてステップで盛り上げていく姿は、彼の復活を象徴するものだったと思います。

ショートプログラムで復活したジュベールは、この世界選手権で見事銅メダルを取り、自身の実力を証明することができました。

このシーズンは4回転論争が起こった時期でもありますが、私が今まで好きになった男子選手はみんな4回転を飛ぶ選手で、私にとっては男子のプログラムに4回転は欠かせないものですが、その代表格が4回転にこだわり続けたジュベールだと思います。

さらに言えば、4回転を入れつつ自分の個性を出せる選手が好きで、ジュベールの「Rise」は技術だけでなく表現でも惹きつけるものがあり、男子のショートプログラムの中では今でも一番好きな作品です。


オリンピックから華々しく復活を遂げたジュベールですが、次回は女子でオリンピックから見事復活したあの選手についてまた語りたいと思います。

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Saturday, June 18, 2016

フィギュアスケートを見始めたきっかけ

戦場のメリークリスマス [DVD]

私がフィギュアスケートを初めて見たのは、たまたまテレビで見た2005年の全日本でした。

【戦メリが教えてくれたフィギュアの世界】

当時私の中でずっと気になる旋律があって、それを友達に聞いたりネットで調べたりしてわかった曲名は「戦場のメリークリスマス」でした。

それ以来この曲にハマり映画のサントラやDVDを買い、最終的には原作の本を買うほど好きになりました。

戦場のメリー・クリスマス 影の獄にて

そんな中2005年の年末、たまたまテレビをつけていたらこの曲が流れてきて、ふと目をやるとそこに映っていたのは、綺麗な衣装を身にまとい滑る安藤美姫さんの姿でした。

切ない旋律に乗せて滑る彼女の姿に一瞬で心を奪われ、それ以来彼女が出る試合をチェックするようになりました。

翌年のオリンピックでは美姫ちゃんの演技を楽しみにしていましたが、トリノとは時差があり当時高校生の私はリアルタイムでは見れず、録画して翌日見ることにしましたが時間がずれたのか録画に失敗し、結局演技は見れず結果だけ知ることとなりました。

結果は本人にとっては不本意なものだったかもしれませんが、女子初の4回転成功者として4回転に果敢に挑んだ姿は素晴らしく、日本フィギュア史上初の金メダルを獲得した荒川静香さんをたたえ、同じ色のメダルを取りたいと言っていたのが印象的でした。

【初めて好きになった選手の晴れ舞台】

その翌年東京で開かれた世界選手権で、ショートプログラムではパーソナルベストを出し、これが彼女の現役最高のショートプログラムとなりました。

ワールド・フィギュアスケート 28

このときのショートプログラム「シェヘラザード」は本当に素晴らしく、トリプルルッツ-トリプルループという彼女にしかできないジャンプを決め、風を切り空を飛んでいるかのような開放感あふれるスパイラルで魅了し、さらに畳みかけるように怒涛のステップが続き最後まで目が離せない作品でした。

そしてフリースケーティングはリアルタイムで見たのを今でも覚えていますが、自国開催の最終滑走で相当プレッシャーがあったにもかかわらず、こちらも素晴らしい演技でショートとフリーをノーミスで揃え、ショート2位からの逆転優勝が決まったときの感動は今でも忘れられません。

もしも過去に戻って好きな試合を一試合だけ生観戦できるとすれば、私はこの2007年の世界選手権を選ぶと思います。

この時期が技術的には彼女の全盛期だったと思いますし、特にシェヘラザードは壮大な曲調が大好きで、彼女のダイナミックな演技がこの曲にぴったり合っていて、この演技を生で見られた方が本当に羨ましいです。


そして、この2007年の世界選手権ではもう一人お気に入りの選手ができました。

次回はその選手について紹介したいと思います。

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