Thursday, September 8, 2016

男子フィギュア界の勢力図が変わった瞬間

ワールド・フィギュアスケート 62

オリンピックシーズンのグランプリファイナルで、男子フリーでは各選手がクラシックに乗せた個性的な演技で魅了していく中、いよいよ優勝が決まる最終局面を迎えました。

【力尽きるまで攻め続けた若き才能】

最終滑走はショートで圧倒的な演技を見せて世界記録を更新し、堂々の首位でフリーを迎えた日本期待の星羽生くんが登場し、赤や黄色などカラフルなストーンが散りばめられた女性が着るような華やかなデザインの衣装を、独特の中性的な雰囲気で見事に着こなしていました。

2シーズン前とは別バージョンの「ロミオとジュリエット」に乗せて、勢いよく最初の4回転サルコウに挑みましたが転倒、しかしすぐさま立ち上がり次の4回転トウループは見事に決め、続くトリプルフリップも決めて勢いに乗っていきました。

後半もトリプルアクセルからのコンビネーションを立て続けに決めると、高難度ジャンプを次々と成功させて最後のジャンプも決め、終盤の見せ場では美しいイナバウアーで観客を引き込みました。

珍しく最後のスピンでぐらつき、フィニッシュでは生まれたての小鹿のような状態で力尽きているのを見て、2シーズン前のロミオとジュリエットでも最後にばてていたのを思い出して懐かしくなりました。

【無敵の世界王者の地盤を揺るがす大金星】

この素晴らしい演技でパトリックを上回る193点台の高得点を出し、予想外の点数に本人は納得していない様子で表情を曇らせて首を横に振っていましたが、大事なオリンピックシーズンのグランプリファイナルで見事に優勝を決めました。

点数に納得していない彼を見て、以前全日本で自分の点が出過ぎだと言っていた小塚くんを思い出し、日本人選手はこういう素直で謙虚なところが良いなと思いました。

確かにホームということで点数が高くなったのかもしれませんが、ショートでの貯金があったのでこれがホームの試合でなくても彼が優勝していたと思います。

そして今までミスをしても圧倒的な実力で勝ち続けていたパトリックがほぼ完璧なフリーを見せたにもかかわらず、フリーでミスをした羽生くんがそのパトリックを破って優勝したというのが何より大きいと思います。

この大会でこれまでパトリックが絶対王者として君臨していた男子フィギュア界の勢力図が変わり、羽生くんがパトリックを脅かす存在になった瞬間を目の当たりにして、これは男子フィギュアの一大転機になったなと感じました。

そんな瞬間を目撃することができた観客の皆さんが羨ましいですし、上位3選手だけでなく町田くんの演技も素晴らしかったこの大会は、もし過去の男子の試合を一試合だけ生観戦できるなら間違いなくこの試合を選ぶと言えるほど、素晴らしい演技が多く見ごたえのある大会だったと思います。


そんな試合をお茶の間で見ていて現地観戦したい気持ちが抑えられず、ついに初めて全日本のチケットを取り、オリンピックシーズンの死闘を目撃する様子は次回お話しします。

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