オリンピックシーズンの全日本二日目は、次々と素晴らしい演技を見せる女子のメンタルの強さにただただ圧倒されているうちに、女子ショートも最終滑走者を残すのみとなりました。
【女子のメンタルの強さを示したハイレベルな戦い】
このとんでもなくハイレベルな戦いの最後を締めくくるのは、病気を乗り越えて前回のオリンピックへの出場を果たし、遅咲きながら世界選手権での銅メダルなど着実に実績を積み重ねてきた、鈴木明子さんでした。私に生観戦の魅力を教えてくれた明子ちゃんにとって、これが現役最後の全日本になるとわかっていたので、この演技をしっかり目に焼き付けようと集中しました。
「愛の讃歌」の優しいメロディーに乗せて、20代後半で身に付けたトリプルトウループ-トリプルトウループのコンビネーションを降りると、トリプルフリップも鮮やかに決めて観客を引き込んでいきました。
後半で曲の盛り上がりに合わせて最後のジャンプ、ダブルアクセルを決めると会場からは大歓声が上がり、最後のスピンの途中からは拍手が鳴りやまず、演技が終わった瞬間観客が一斉に立ち上がりました。
女子のハイレベルな戦いを締めくくるにふさわしいベテランの円熟味のある演技に、会場中から拍手と歓声が沸き起こる様子には鳥肌が立ち、初めて明子ちゃんの演技を生で観たときに感じたように、彼女は観客を惹きつける才能がある唯一無二の選手だなと再認識しました。
明子ちゃんはこの演技で会場もどよめく70点台という高得点を出し、女子ショートの結果は真央ちゃん1位、明子ちゃん2位、佳菜子ちゃん3位となり、素晴らしい演技が続出で見ごたえのある戦いとなりました。
とんでもなくハイレベルな戦いに全精力を使い果たしてしまい、しばらくその余韻にぼーっと浸っていたいところでしたが、この後は男子フリーが控えていたので、何とか気持ちを切り替えて男子の戦いに集中しました。
【世界一過酷な男子の最終決戦の幕開け】
男子フリーは最終グループに有力選手が固まる中、その先陣を切ったのはショート1位で全日本連覇を狙う羽生くんでした。グランプリファイナルでパトリックを破るという大金星を挙げたフリーの「ロミオとジュリエット」では、ファイナルで決まらなかった4回転サルコウに果敢に挑み、今回も転倒してしまいましたが、続く4回転トウループは何とかこらえて持ち直しました。
後半もトリプルアクセルからのコンビネーションなど高難度ジャンプを次々と決めて失敗する気配がなく、最後のトリプルルッツも何とかこらえると見せ場のイナバウアーで観客を引き込み、ファイナルと同じく4回転サルコウ以外は素晴らしい内容でした。
この演技でファイナルに引き続き190点台という素晴らしい得点を叩き出しましたが、ファイナルと同じく点が出過ぎだと思ったのか複雑な表情を見せ、満足していない様子でまだまだ伸びしろがあることを感じさせました。
女子から男子まで全日本をずっと観ていると、20代後半の明子ちゃんのようなベテランから10代の羽生くんのような若手まで、幅広い世代の選手が第一線で活躍できるというのは日本の強みだなと思いました。
こうして女子ショートから男子フリーへと続く長い一日もついに佳境を迎え、男子のオリンピック代表争いの最終決戦が繰り広げられる様子は次回お伝えします。
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