Monday, September 26, 2016

最後の全日本で奇跡を起こした選手

笑顔が未来をつくる――私のスケート人生

オリンピックの代表選考会となった2013年の全日本は、最終日の最終種目である女子フリーの最終グループまで有力選手がひしめき合っており、最後の最後まで目が離せない戦いとなりました。

そんな有力候補の先陣を切って登場した知子ちゃんの、シニアデビューとは思えない美しく洗練された演技に魅了され、その余韻にずっと浸っていたい気分でしたが、ここからベテラン勢が次々登場するため気持ちを切り替えて集中しました。

【様々な試練を乗り越えた選手が最後に見せた輝き】

シニアデビューの知子ちゃんに続いて登場したのは、現役最後のシーズンとして挑んだこの全日本で、ショートでは素晴らしい演技を見せて2位となり、いよいよ全日本最後の演技を迎える明子ちゃんでした。

純白でキラキラ輝くウエディングドレスのような衣装に身を包んで登場すると、「オペラ座の怪人」の優しい旋律に乗せて彼女の全日本最後の演技が始まり、曲が静かに盛り上がっていく中迎えた最初のジャンプ、トリプルフリップからの3連続を決めると同時に激しい曲調へと変化し疾走感を増していきました。

そのまま勢いに乗ってダブルアクセル-トリプルトウループのコンビネーションを決めると、おなじみの迫力あるフレーズに乗せてトリプルルッツも鮮やかに決め、疾走感とともにどんどん観客を引き込んでいきました。

後半に入ると穏やかな曲調に変わり、得意のステップでは滑らかな動きで真っ白な衣装とともにリンクに溶け込んでいきそうなほど柔らかい雰囲気を醸し出し、再び曲が盛り上がっていく中トリプルフリップ、トリプルループと立て続けにジャンプを決めていきました。

さらにトリプルサルコウからのコンビネーションを決めると、スピードに乗ったダイナミックなスパイラルで壮大なクライマックスを見事に演出し、全身を大きく使って空を飛んでいるかのような疾走感とともにリンクを駆け回ると、最後のトリプルサルコウも鮮やかに決めて最高の形でエンディングを迎えました。

あまりにも感動的な演技に会場中が大歓声と拍手に包まれ、総立ちで彼女の全日本最後の演技を称える様子を目の当たりにし、この場に立ち会えて良かったなと幸せを感じながらスタンディングオベーションを送りました。

【最高の演技で全日本の最後を迎えられる幸せ】

どの選手も現役を引退するときが必ずやってきますが、その現役最後の全日本をショートフリーともに最高の形で締めくくるというのは誰にでもできることではなく、こうした奇跡は私にとって歴代最高得点の更新や世界初のジャンプ成功などの記録に残る偉業よりもはるかに感動を呼び、フィギュアスケートを観ていて良かったと心から思える幸せな時間でした。

この感動の演技で144点台というとんでもない得点を叩き出し、総合得点は210点越えという見事な有終の美を飾りましたが、私の中ではもう順位や点数などはどうでもよく、この奇跡を見せてくれた明子ちゃんにただただ感謝の気持ちでいっぱいでした。

Lloyd Webber: Phantasia/The Woman In White Suite

そんなベテランの奇跡を目の当たりにした後、いよいよ私が8年間応援してきた選手の最後の演技を見届ける様子は次回お伝えします。

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