町田くんの全身全霊の演技に気力を使い果たしてしまい、序盤ですでに抜け殻のような状態になっていた全日本の男子ショートですが、ここから次々とオリンピックの有力候補が登場するため、何とか気持ちを奮い立たせて目の前の試合に集中しました。
【大舞台の重圧と闘う難しさ】
町田くんと同じグループで登場したのは、長年日本を背負って活躍してきた織田信成さんで、彼にはNHK杯での素晴らしい演技を再現してほしいと願っていました。祈りながら見つめた最初の4回転は3回転になってしまい、そこからはザヤックを回避できるかハラハラしながら見つめていましたが、続くトリプルアクセルを決めて立て直し、最後のトリプルルッツに2回転を付けて何とかザヤックは回避できてほっとしました。
しかし4回転が決まらなかったからか表情は硬く得点も伸びず、特にオリンピックシーズンの大事な全日本ということもあり、とんでもないプレッシャーの中で良い演技をすることの難しさを肌で感じて切なくなり、改めて大事な試合で4回転を決めることの重要性を痛感しました。
【重圧をものともしない貫禄の演技】
最終グループを残してすでに山あり谷ありの展開で一日がとてつもなく長く感じていましたが、ついに最終グループとなりここから有力選手が次々に登場しました。まず優勝候補として登場したのは、グランプリファイナルでパトリック・チャンを破って見事優勝し、オリンピックの金メダル候補として期待されていた羽生結弦選手でした。
前回の世界選手権を見に行ったとき、これまで世界記録を更新し続けてきた「パリの散歩道」を初めて生で観れると楽しみにしていたのですが、そのとき羽生くんは怪我を抱えていて状態が悪く、まさかのミスが続いて完成形を見ることは叶いませんでした。
今日こそ完成形が見たいと願いながら見つめたこの全日本では、最初の4回転を綺麗に決め、余裕すら感じるような魅せる演技で観客を引き込み、トリプルアクセルも美しく決めて失敗する気配がありませんでした。
そしてジャンプはコンビネーションを残すのみとなりましたが、最初のトリプルルッツで軸が大きく傾いてしまい、転倒するかと思いましたが何とかトリプルトウループを付け、一瞬ヒヤッとしましたが終わってみれば完璧な内容でした。
ようやくこの「パリの散歩道」の完成形を生で観れたのが嬉しく、さらにこれまでのような必死でがむしゃらに滑る姿はどこにもなく、余裕を持った魅せる演技ができるほどに成長した姿には大人の貫禄すら感じられ、何の不安もなく純粋に演技を楽しむことができました。
得点もついに大台の100点を突破し余裕のトップでショートを終えた彼を見て、プレッシャーにもびくともしないほど立派に成長した姿を頼もしく思いつつ、あのがむしゃらな姿はもう見れないのかなと少し寂しさも感じ、わが子の成長を見届ける親のような気分で大人になった彼を見つめていました。
目の前で巻き起こる様々なドラマにいろんな感情が渦巻き、気持ちを整理する余裕もない男子ショートですが、一息つく間もなくここから立て続けに有力選手が登場する様子は次回お話しします。
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