Sunday, September 11, 2016

会場でしか味わえない熱気と一体感

フィギュアスケートファン 2012 高橋大輔・小塚崇彦・安藤美姫・羽生・今井・世界のスケーター大 (COSMIC MOOK)

オリンピック代表候補の演技に一喜一憂してきた全日本の男子ショートは、羽生くんの貫禄あふれる演技を皮切りに続々と有力選手が登場しました。

【怪我との闘いに苦悩する選手と観客】

羽生くんに続いて登場したのは、前回のオリンピックで大怪我から見事に復帰して日本男子初となるメダルを獲得するなど、長年日本男子を引っ張り日本のフィギュア界に大きく貢献してきた高橋大輔さんでした。

彼が登場すると物凄い歓声と共にD1SKと書かれたタオルが会場を埋め尽くし、彼がどれだけ日本のファンに愛されているかというのを肌で感じることができ、これだけ熱気にあふれる会場の空気はもう二度と味わえないかもしれないと思い、この光景をしっかり目に焼き付けました。

怪我を抱えていて万全のコンディションとは言えなかったこの全日本のショートでは、最初の4回転で両足着氷になりながらも何とかこらえ、続くトリプルアクセルは成功したと思った瞬間転倒してしまい、ジャンプのたびに会場から歓声や悲鳴が上がっていました。

最後のトリプルルッツからのコンビネーションは何とか決まり、会場からは大歓声が上がっていましたが、最後のスピンでもふらつくなど怪我の影響で実力を出し切れず、見ていて辛くなる演技でした。

採点を待つ彼が呆然とした表情で今にも泣きそうなのを見てこちらまで切なくなり、転倒や回転不足の影響で点数も伸びず、羽生くんの演技後の興奮から一転して会場は重苦しい空気になりました。

【軽快なリズムで会場を一つにした演技】

そんな沈んだ空気の中登場したのは、スケート一家に生まれフィギュア界のサラブレッドとして期待され、長年日本代表として世界選手権銀メダルなど数々の実績を残してきた小塚崇彦さんでした。

冒頭の4回転を何とかオーバーターンでこらえると、「アンスクエア・ダンス」の7拍子のリズムに合わせて会場からも手拍子が上がり、私もこの独特なリズムに何とかついていこうと必死で周りに合わせて手拍子しました。

大きな手拍子で盛り上がる中トリプルアクセルを綺麗に決め、7拍子のリズムに乗った軽やかな滑りで魅了し、こちらも手拍子でリズムを取りプログラムの一部になったような気分で楽しめました。

そして前半が終わると曲調が変わり、こちらも手拍子を止めて一息つきながら見守る中迎えた後半のコンビネーションジャンプは、最初のトリプルルッツでオーバーターンしてしまい、これはまずいと思っていたら何とそこからトリプルトウループを付けて根性を見せました。

そして再び7拍子のリズムになると自然と観客から手拍子が上がり、私もこのリズムにだいぶ慣れてきて楽しんで手拍子に参加できるようになり、リズムを取りながら彼のつるつる滑る軽快で美しいステップを観るのは心地よく、最後まで楽しんで観ることができました。

ジャンプのミスを最小限に抑えて美しいステップやスピンで得点を稼いだ結果90点台の高得点が出て、本人は予想外の高得点に驚いて小動物のようにくるくる表情を変え、不思議そうに両手を広げて観客を笑わせていて、この素直で謙虚なところが日本のファンに愛される理由なんだろうなと微笑ましく思いました。

この「アンスクエア・ダンス」はお茶の間で観ても十分楽しめますが、やはり会場で手拍子に参加しながら観るのは格別で、選手と観客と音楽が一つになって作り上げる一体感を楽しめるこのプログラムは、会場まで観に来て良かったなと思える素敵な作品でした。


そんな会場を楽しませてくれた小塚くんの演技が終わり、会場全体に張り詰めていた緊張感もほぐれてきましたが、まだまだ観客を盛り上げる選手の登場に目が離せない男子ショートの続きは次回お伝えします。

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