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Friday, January 13, 2017

世界のトップを争う日本男子の黄金期

改訂版 - ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2014年ISU世界選手権 Beautiful Moments of ISU World Figure Skating Championships 2014 Saitama Japan (Beautiful Moments of Figure Skating)

オリンピックシーズンにさいたまで行われた2014年の世界選手権では、3日目の男子フリーで町田くんが2シーズンかけて熟成させた「火の鳥」を見事に演じ切り、最後にして最高の「火の鳥」を観ることができましたが、その町田くんと優勝を争う羽生くんの登場で会場は再び熱気に包まれました。

ソチオリンピックの金メダリストとしてこの世界選手権に臨み、誰もが優勝候補の筆頭だと思っていましたが、ショートでは珍しく4回転トウループで転倒してしまい、ショート1位の町田くんとは7点差のショート3位でフリーを迎えました。

【逆転優勝を狙って死力を尽くしたフリー】

「ロミオとジュリエット」の激しい旋律に乗せて羽生くんの演技が始まると、冒頭の4回転サルコウを何とかこらえ、続く4回転トウループを鮮やかに決めると、トリプルフリップも決めて順調な滑り出しを見せました。

穏やかな曲調に変わって後半に入ると、トリプルアクセル-トリプルトウループを何とかこらえ、2本目のトリプルアクセルは両手を上げたダブルトウループをつけて美しく決めると、続くトリプルループも綺麗に決めました。

しかしトリプルルッツの着氷で乱れてしまい、ヒヤッとしましたがシングルループとトリプルサルコウを何とかつけてコンビネーションにつなげると、最後のトリプルルッツも見事に決め、見せ場のイナバウアーで会場は最高潮の盛り上がりとなりました。

【2シーズンで見せた急成長と強さの秘訣】

演技を終えると力尽きたのかそのままリンクにしゃがみ込み、2シーズン前のロミオとジュリエットでも最後にばてていたのを思い出しましたが、あれから2シーズンでとんでもない成長を見せたなと思うと感慨深く、会場も総立ちで羽生くんの勇姿を称えました。

このフリーではこらえるジャンプが多かった印象ですが、1年前の世界選手権のフリーでもジャンプをこらえながらも何とか最後まで滑りきっていたのが印象的で、それまで試合でなかなか決まらなかった4回転サルコウを、2年連続で世界選手権のフリーで降りるというのは驚異的だなと思いました。

そして初出場の世界選手権から3年連続でフリーのジャンプを全て降りていてピークを合わせるのが上手いなと感銘を受けましたが、世界選手権ではショートで出遅れてフリーで挽回するというパターンが続いていて、ソチオリンピックでは金メダルだったもののショート1位で迎えたフリーでミスが続き不本意な演技となってしまったので、追われるより追う立場になったときに底力を発揮するんだなと羽生くんの強さの秘訣を見た気がしました。

この渾身のフリーで191点台という高得点を叩き出し、総合得点は282.59点で町田くんと何と0.33点差で辛うじてトップに躍り出るというとんでもない逆転劇を見せ、町田くんの心情を思うと少し切なさも感じましたが、世界選手権で日本男子が優勝争いを繰り広げるという歴史的瞬間に立ち会えるなんて凄く幸せなことだなと思いました。


こうして男子フリーでは日本人同士で激しい優勝争いを繰り広げる中、もう一人の優勝候補の登場で会場が再び熱気に包まれる様子は次回お話しします。

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Saturday, September 17, 2016

ベテランから若手まで幅広い世代の活躍

フィギュアスケート2013-2014シーズンオフィシャルガイドブック (アサヒオリジナル)

オリンピックシーズンの全日本二日目は、次々と素晴らしい演技を見せる女子のメンタルの強さにただただ圧倒されているうちに、女子ショートも最終滑走者を残すのみとなりました。

【女子のメンタルの強さを示したハイレベルな戦い】

このとんでもなくハイレベルな戦いの最後を締めくくるのは、病気を乗り越えて前回のオリンピックへの出場を果たし、遅咲きながら世界選手権での銅メダルなど着実に実績を積み重ねてきた、鈴木明子さんでした。

私に生観戦の魅力を教えてくれた明子ちゃんにとって、これが現役最後の全日本になるとわかっていたので、この演技をしっかり目に焼き付けようと集中しました。

「愛の讃歌」の優しいメロディーに乗せて、20代後半で身に付けたトリプルトウループ-トリプルトウループのコンビネーションを降りると、トリプルフリップも鮮やかに決めて観客を引き込んでいきました。

後半で曲の盛り上がりに合わせて最後のジャンプ、ダブルアクセルを決めると会場からは大歓声が上がり、最後のスピンの途中からは拍手が鳴りやまず、演技が終わった瞬間観客が一斉に立ち上がりました。

女子のハイレベルな戦いを締めくくるにふさわしいベテランの円熟味のある演技に、会場中から拍手と歓声が沸き起こる様子には鳥肌が立ち、初めて明子ちゃんの演技を生で観たときに感じたように、彼女は観客を惹きつける才能がある唯一無二の選手だなと再認識しました。

明子ちゃんはこの演技で会場もどよめく70点台という高得点を出し、女子ショートの結果は真央ちゃん1位、明子ちゃん2位、佳菜子ちゃん3位となり、素晴らしい演技が続出で見ごたえのある戦いとなりました。


とんでもなくハイレベルな戦いに全精力を使い果たしてしまい、しばらくその余韻にぼーっと浸っていたいところでしたが、この後は男子フリーが控えていたので、何とか気持ちを切り替えて男子の戦いに集中しました。

【世界一過酷な男子の最終決戦の幕開け】

男子フリーは最終グループに有力選手が固まる中、その先陣を切ったのはショート1位で全日本連覇を狙う羽生くんでした。

グランプリファイナルでパトリックを破るという大金星を挙げたフリーの「ロミオとジュリエット」では、ファイナルで決まらなかった4回転サルコウに果敢に挑み、今回も転倒してしまいましたが、続く4回転トウループは何とかこらえて持ち直しました。

後半もトリプルアクセルからのコンビネーションなど高難度ジャンプを次々と決めて失敗する気配がなく、最後のトリプルルッツも何とかこらえると見せ場のイナバウアーで観客を引き込み、ファイナルと同じく4回転サルコウ以外は素晴らしい内容でした。

この演技でファイナルに引き続き190点台という素晴らしい得点を叩き出しましたが、ファイナルと同じく点が出過ぎだと思ったのか複雑な表情を見せ、満足していない様子でまだまだ伸びしろがあることを感じさせました。


女子から男子まで全日本をずっと観ていると、20代後半の明子ちゃんのようなベテランから10代の羽生くんのような若手まで、幅広い世代の選手が第一線で活躍できるというのは日本の強みだなと思いました。

こうして女子ショートから男子フリーへと続く長い一日もついに佳境を迎え、男子のオリンピック代表争いの最終決戦が繰り広げられる様子は次回お伝えします。

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Saturday, September 10, 2016

立派に成長していく頼もしさと寂しさ

フィギュアスケートファン通信10 (メディアックスMOOK)

町田くんの全身全霊の演技に気力を使い果たしてしまい、序盤ですでに抜け殻のような状態になっていた全日本の男子ショートですが、ここから次々とオリンピックの有力候補が登場するため、何とか気持ちを奮い立たせて目の前の試合に集中しました。

【大舞台の重圧と闘う難しさ】

町田くんと同じグループで登場したのは、長年日本を背負って活躍してきた織田信成さんで、彼にはNHK杯での素晴らしい演技を再現してほしいと願っていました。

祈りながら見つめた最初の4回転は3回転になってしまい、そこからはザヤックを回避できるかハラハラしながら見つめていましたが、続くトリプルアクセルを決めて立て直し、最後のトリプルルッツに2回転を付けて何とかザヤックは回避できてほっとしました。

しかし4回転が決まらなかったからか表情は硬く得点も伸びず、特にオリンピックシーズンの大事な全日本ということもあり、とんでもないプレッシャーの中で良い演技をすることの難しさを肌で感じて切なくなり、改めて大事な試合で4回転を決めることの重要性を痛感しました。

【重圧をものともしない貫禄の演技】

最終グループを残してすでに山あり谷ありの展開で一日がとてつもなく長く感じていましたが、ついに最終グループとなりここから有力選手が次々に登場しました。

まず優勝候補として登場したのは、グランプリファイナルでパトリック・チャンを破って見事優勝し、オリンピックの金メダル候補として期待されていた羽生結弦選手でした。

前回の世界選手権を見に行ったとき、これまで世界記録を更新し続けてきた「パリの散歩道」を初めて生で観れると楽しみにしていたのですが、そのとき羽生くんは怪我を抱えていて状態が悪く、まさかのミスが続いて完成形を見ることは叶いませんでした。

今日こそ完成形が見たいと願いながら見つめたこの全日本では、最初の4回転を綺麗に決め、余裕すら感じるような魅せる演技で観客を引き込み、トリプルアクセルも美しく決めて失敗する気配がありませんでした。

そしてジャンプはコンビネーションを残すのみとなりましたが、最初のトリプルルッツで軸が大きく傾いてしまい、転倒するかと思いましたが何とかトリプルトウループを付け、一瞬ヒヤッとしましたが終わってみれば完璧な内容でした。

ようやくこの「パリの散歩道」の完成形を生で観れたのが嬉しく、さらにこれまでのような必死でがむしゃらに滑る姿はどこにもなく、余裕を持った魅せる演技ができるほどに成長した姿には大人の貫禄すら感じられ、何の不安もなく純粋に演技を楽しむことができました。

得点もついに大台の100点を突破し余裕のトップでショートを終えた彼を見て、プレッシャーにもびくともしないほど立派に成長した姿を頼もしく思いつつ、あのがむしゃらな姿はもう見れないのかなと少し寂しさも感じ、わが子の成長を見届ける親のような気分で大人になった彼を見つめていました。


目の前で巻き起こる様々なドラマにいろんな感情が渦巻き、気持ちを整理する余裕もない男子ショートですが、一息つく間もなくここから立て続けに有力選手が登場する様子は次回お話しします。

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Thursday, September 8, 2016

男子フィギュア界の勢力図が変わった瞬間

ワールド・フィギュアスケート 62

オリンピックシーズンのグランプリファイナルで、男子フリーでは各選手がクラシックに乗せた個性的な演技で魅了していく中、いよいよ優勝が決まる最終局面を迎えました。

【力尽きるまで攻め続けた若き才能】

最終滑走はショートで圧倒的な演技を見せて世界記録を更新し、堂々の首位でフリーを迎えた日本期待の星羽生くんが登場し、赤や黄色などカラフルなストーンが散りばめられた女性が着るような華やかなデザインの衣装を、独特の中性的な雰囲気で見事に着こなしていました。

2シーズン前とは別バージョンの「ロミオとジュリエット」に乗せて、勢いよく最初の4回転サルコウに挑みましたが転倒、しかしすぐさま立ち上がり次の4回転トウループは見事に決め、続くトリプルフリップも決めて勢いに乗っていきました。

後半もトリプルアクセルからのコンビネーションを立て続けに決めると、高難度ジャンプを次々と成功させて最後のジャンプも決め、終盤の見せ場では美しいイナバウアーで観客を引き込みました。

珍しく最後のスピンでぐらつき、フィニッシュでは生まれたての小鹿のような状態で力尽きているのを見て、2シーズン前のロミオとジュリエットでも最後にばてていたのを思い出して懐かしくなりました。

【無敵の世界王者の地盤を揺るがす大金星】

この素晴らしい演技でパトリックを上回る193点台の高得点を出し、予想外の点数に本人は納得していない様子で表情を曇らせて首を横に振っていましたが、大事なオリンピックシーズンのグランプリファイナルで見事に優勝を決めました。

点数に納得していない彼を見て、以前全日本で自分の点が出過ぎだと言っていた小塚くんを思い出し、日本人選手はこういう素直で謙虚なところが良いなと思いました。

確かにホームということで点数が高くなったのかもしれませんが、ショートでの貯金があったのでこれがホームの試合でなくても彼が優勝していたと思います。

そして今までミスをしても圧倒的な実力で勝ち続けていたパトリックがほぼ完璧なフリーを見せたにもかかわらず、フリーでミスをした羽生くんがそのパトリックを破って優勝したというのが何より大きいと思います。

この大会でこれまでパトリックが絶対王者として君臨していた男子フィギュア界の勢力図が変わり、羽生くんがパトリックを脅かす存在になった瞬間を目の当たりにして、これは男子フィギュアの一大転機になったなと感じました。

そんな瞬間を目撃することができた観客の皆さんが羨ましいですし、上位3選手だけでなく町田くんの演技も素晴らしかったこの大会は、もし過去の男子の試合を一試合だけ生観戦できるなら間違いなくこの試合を選ぶと言えるほど、素晴らしい演技が多く見ごたえのある大会だったと思います。


そんな試合をお茶の間で見ていて現地観戦したい気持ちが抑えられず、ついに初めて全日本のチケットを取り、オリンピックシーズンの死闘を目撃する様子は次回お話しします。

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Tuesday, August 23, 2016

日本開催の試合で見た天国と地獄

羽生結弦「覚醒の時」 (通常版) [DVD]

グランプリシリーズは世界王者パトリックが歴代最高得点を次々と塗り替え、圧巻の演技で当然のように総合1位でグランプリファイナル進出を決めましたが、日本勢もこれまでにないほど選手層が厚くなり全大会で日本人が表彰台に上がり、日本からは3選手がグランプリファイナル進出を決めました。

【世界最高の選手層を誇る日本男子】

日本人でトップとなったのはスケートアメリカでの大躍進で勢いに乗り、ロステレコム杯でも優勝してパトリックと同じく2戦2勝という結果で、総合2位となり文句なしにファイナル進出を決めた町田くんでした。

これまで世界選手権の代表にも選ばれたことのなかった彼が、オリンピックシーズンに日本勢トップでファイナルに進んだという事実は、日本の男子フィギュアの選手層の厚さを示すと同時に、オリンピック代表争いの過酷さを物語っていました。

続いて総合3位でファイナル進出を決めたのは、2戦パトリックと当たるという難しい状況の中、彼の世界記録更新の演技を目の当たりにしながらも、2戦とも2位に踏みとどまった羽生くんでした。

そして日本人3番手で出場を決めたのは、NHK杯で貫禄の演技を見せ見事優勝した大ちゃんでしたが、残念ながら怪我のため欠場することになりました。

そんな大ちゃんの代わりに繰り上がりで出場することになったのは、同じくNHK杯で素晴らしい演技を見せ2位となった織田くんでした。

日本人選手の欠場を日本人選手がカバーすることになったというのは、これも日本の男子シングルの層の厚さを示しており、さらにNHK杯で大ちゃんと織田くんの活躍を生で観た私は、より感慨深いものがありました。

【日本開催のファイナルは波乱の幕開け】

福岡での開催となったファイナルでは日本勢に大きな期待がかかる中、最初に登場した織田くんは最初の4回転で転倒したものの、その後はうまく立て直して何とか80点台に乗せ、4回転で転倒して目が覚めたというコメントが印象的でした。

その後も各選手ミスが出て調子が上がらない中、羽生くんがもはや鉄板ともいえる「パリの散歩道」で、再び歴代最高得点を更新する素晴らしい演技を見せ、一皮むけて貫禄のある選手に成長したなとしみじみ感じました。

その次の滑走となったのは日本勢トップの町田くんでしたが、冒頭の4回転トウループが2回転になってしまった上に、最後のジャンプにも2回転トウループを付けたためノーカウントとなってしまい、技術点をほとんど稼げず信じられないような得点で最下位となってしまいました。

結局ショートでは羽生くん以外の選手はミスが出て調子が上がらず、羽生くんがぶっちぎりのトップでフリーを迎えることになりました。


日本開催のファイナルを最高の演技でスタートした羽生くんの直後に、シーズン初めの勢いからは信じられないほどの不調で最下位に沈んだ町田くんという、日本人にとっては立て続けに天国と地獄を味わうようなショートとなりましたが、さらにドラマチックな展開となったフリーについては次回お伝えします。

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Thursday, July 28, 2016

生観戦で唯一無二の魅力を再認識した選手


万全の態勢で観戦に臨んだ初めての世界選手権では、波乱の幕開けとなった男子ショートを目の当たりにし、日本男子の3枠維持とお気に入りの選手の健闘を祈りつつ、いよいよ勝負の男子フリーの日を迎えました。

男子ショートの前は初めての世界選手権の観戦に浮き足立っていましたが、日本男子3枠の危機という予想外の展開でフリーを迎えることとなり、ショートとフリーを通して観戦するのが初めてだった私は、これまで味わったことのない緊張感とともに会場へと向かいました。


【苦しみながらも底力を見せつけた全身全霊の演技】

お気に入りの選手の中で最初の滑走となったのは、まさかの前回の世界選手権で銅メダルを獲得した羽生くんでした。

確かに前回の世界選手権もショートで出遅れて、フリーでは最終グループに入れませんでしたが、このシーズンはショートで何度も世界記録を更新していたので、こんなに早い滑走順になるとは予想していませんでした。

このとき怪我を抱えていて状態が良くなかった上に、日本男子の3枠も危ういというプレッシャーのかかる状況で、見ているこちらも胃が痛くなるような緊張感の中、ただただバナーを握りしめて祈ることしかできませんでした。

そして静かに響き始めた「ノートルダム・ド・パリ」の旋律に乗せて、最初の4回転トウループを成功させて音楽も盛り上がってくる中、鬼門の4回転サルコウも何とか降りて前半は大きなミスなく乗り切りました。

そしてこの作品で私の一番のお気に入りの部分である、心がざわめくような曲調とともに後半の演技に入りましたが、ここからも何とかこらえながら次々とジャンプを決めていき、追いつめられたときに発揮する人間の底力を目の当たりにしました。

最後のジャンプを決めると会場の興奮は最高潮となり、演技が終わったときには一つのドラマを見終えたような感覚で、背水の陣で臨んだであろう羽生くんの心情を思い、涙をこらえながら精一杯バナーを振り続けました。

ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2013年   Beautiful Moments of Figure Skating Year 2013  2015/7/8 (Beautiful Moments of Figure Skating)

【音楽に命を吹き込み一つの物語を生み出す選手】

前回の世界選手権はお茶の間観戦でしたが、その時も彼のフリーを見て映画を鑑賞したような満足感で満たされ、音楽と彼の生き様が重なることによってその作品が彼の色に染まり、一つの物語として感情移入させられるのが彼の最大の魅力だと思います。

この全身全霊の演技を目の当たりにし、作品にどんどん引き込まれていくのを肌で感じ、彼の唯一無二の魅力を再認識しました。


この段階ですでに心が揺さぶられ気力を奪われていましたが、さらに予測不能の展開を迎える最終グループの様子は次回お話しします。

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Saturday, July 23, 2016

世界選手権デビューは波乱の幕開け


お気に入りの男子選手にケヴィンが加わり、俄然気合を入れて世界選手権の初観戦に臨むべく、試合前日は宿泊先のホテルでバナー作りに取り組んでいました。

これまでは小さい国旗や布にマジックで名前を書き込むという即席バナーでしたが、今回は遠くからでも見えるよう大きめの国旗を用意し、さらにラメの入った色付きの紙で選手の名前を一文字ずつ作り、それぞれの選手の国旗に貼り付けていきました。


こうして準備万端で会場に乗り込み、前回と同じくリンクが遠いなと思いつつ、初めての世界選手権ということで興奮を抑えきれませんでした。


【次々と主役が入れ替わる白熱の試合】

そしていよいよ試合が始まり、カナダ人の物凄い声援に迎えられて登場したケヴィンは、「チャンバーメイド・スイング」の音楽に乗せて果敢に2本の4回転に挑み、2本目の4回転の着氷で少しミスが出た以外はクリーンに滑り切りました。

世界で初めてショートで2本の4回転を成功した選手として誇りを持ち、自国開催でプレッシャーのかかるワールドでも自分のスタイルを崩さず、カナダ人の観客の前で良い演技を見せられたことに感動し、大声援を送るカナダ人に混ざってバナーを振り続けました。

そしてケヴィンがパーソナルベストを更新し会場が盛り上がる中、次はジュベールだと気持ちを切り替えてバナーを用意し、ファンになってから6年を経て、ようやくジュベールの演技を拝むこととなりました。

長く応援してきた選手だけあって登場したときの感動はひとしおで、天井席にもかかわらず一目見た瞬間に鳥肌が立ち、「本物のジュベールだ!」と興奮していたのを今でも覚えています。

ケヴィンへの物凄い声援の後でしたがジュベールは動じることなく、「ジェネシス」の音楽に乗せて4回転を含むジャンプを全て決め、最後は観客をあおるようにガッツポーズしました。

選手として決して若くはないにもかかわらず4回転にこだわり続け、元世界王者としての貫禄を見せつけるような演技に、カナダ人の観客も熱い声援を送っており、私も生でジュベールのノーミス演技を見て有頂天になり、無心でバナーを振り続けました。

【海外勢の活躍と日本勢に立ち込める暗雲】

そして羽生くんの出番に備えてバナーを用意しつつ、世界新記録を更新し続けてきた「パリの散歩道」をようやく見られると期待していましたが、鉄板だったショートでまさかのミスが続き、信じられないような得点と順位に動揺が隠せませんでした。

そんな不穏な空気の中次に登場したのはデニス・テンでしたが、「アーティスト」の音楽に乗せた彼の演技は素晴らしく、4回転などのジャンプを全て決めただけでなく、彼の優雅な表現にも魅せられました。

これは当然スタンディングオベーションだろうと思いましたが、彼が当時カナダであまり有名ではなかったのか周りは誰も立ち上がらず、一人立ち上がる勇気もなく座ったまま精一杯拍手を送りました。

すると90点を超える高得点が出て、自分の目は間違ってなかったなと少し救われました。

そして最終滑走のパトリック・チャンの登場で会場は最高潮の盛り上がりとなりましたが、彼はその自国開催のプレッシャーに負けることなく、「エレジー」の音楽に乗せて素晴らしい滑りを見せ、カナダ人の期待に見事に応えて見せました。

そして当然のようにパトリック1位、そしてケヴィンが見事3位となり、カナダ勢にとっては順調な滑り出しとなりましたが、日本勢は高橋大輔さんが4位に踏みとどまったものの、羽生くん9位、無良崇人選手11位と、まさかの3枠が危うい状況となりました。


こうして波乱続きの男子ショートが終わり、不安を抱えながら迎えた男子フリーの様子は次回お伝えしたいと思います。

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Friday, July 8, 2016

海外で人生初のフィギュア生観戦


羽生くんの引力により男子フィギュアの世界に引きずり込まれた私は、偶然にも2012年羽生くんとほぼ同時期に北米に渡っており、スケートアメリカに彼が出ると聞いて、勢いでチケットを取りました。

【準備万端で臨んだ初めての現地観戦】

スケートアメリカは思ったよりチケットが安く、しかも前の方の席ががら空きだったので、かなり良い席を取ることができました。

ただ大学に通っていた私は平日見に行くのは難しく、ショートは泣く泣く諦めフリーのみ観戦することにして、しかも終わったらすぐ会場を出ないと帰りの飛行機に間に合わないという、かなりの強行日程でしたが羽生くん見たさで即決しました。

Disney Pumpkin Pooh Bean Bag by Halloween Plush by Halloween Plush [並行輸入品]

この時期はハロウィンが近かったこともあり、かぼちゃをかぶったプーさんのぬいぐるみを投げ入れ用に購入し、さらに日本国旗も手に入れ彼の名前を書き入れた即席の手持ちバナーを作り、空港では他の日本人選手へのぬいぐるみも購入し万全の状態で会場に到着しました。


会場でまず驚いたのは日本人の数で、私の周りの席はほとんどが日本人でした。

そして自分の席がリンクにあまりに近いことにも驚き、こんな近距離で選手の演技が見れるのかと興奮していました。


すると私の隣の席の方がやってきてその方も日本人らしく、その後いろいろお話しさせていただくうちに、彼女は小塚崇彦さんのファンの寄せ書き入りの日本国旗を持って来ており、多くのファンを代表して来ている凄い方だということがわかりました。

【現地観戦デビューは予想外の結末】

そしてついに試合が始まり、後半グループの6分間練習で、初めて羽生くんを含む日本人選手を生で見た時の興奮は今でも覚えています。


まず日本人選手の先陣を切ったのは町田樹さんで、ファンから「たっきーがんば!」と声援を受けていました。

彼の演技をしっかり見たのはこの時が初めてでしたが、ミスがあったものの惹きつけられる魅力があり、その時の「火の鳥」は何度も動画を見返すほど、私にとってお気に入りの作品になりました。

そして小塚くんの出番になると隣の女性が、「たかちゃんがんばー!」と大声で声援を送り、それを皮切りに続々と声援が上がっていきました。

隣の女性は小塚くんの演技中ずっと両手を合わせたお祈りポーズで、ジャンプが決まった瞬間だけ拍手しすぐお祈りポーズに戻っていましたが、近くの席にいた別の小塚くんファンも全く同じ行動を取っていて、ファンの本気の想いをかいま見ることができました。

結果小塚くんは素晴らしい演技で、隣の女性は演技後寄せ書き入りの国旗を振り、その後国旗をリンクにそっと投げ入れているのが印象的でした。

そして最後が羽生くんでしたが、私は声援を送る勇気すら出せず、手持ちのバナーを振って応援するのが精一杯でした。

そして演技序盤の4回転は目の前で転倒してその後もミスが続き、大自爆の演技に呆然としつつも一応プーさんは投げ入れました。

結果は小塚くん優勝、羽生くん2位、町田くん3位と、日本勢が表彰台を独占するという素晴らしい成績でしたが、帰りの飛行機の時間が迫っていた私は表彰式も見れず、羽生くん目当てで来た私にとってはほろ苦い初観戦となりました。

ワールド・フィギュアスケート 55

そんな初観戦だったにもかかわらず、すぐに次の試合のチケットを取り、2度目の観戦に臨む様子は次回お話ししたいと思います。

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Sunday, July 3, 2016

大好きな選手の休養中に心を動かされた選手

ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2012年 Beautiful Moments of Figure Skating (Beautiful Moments of Figure Skating)

大好きな美姫ちゃんが休養を発表した2011年、あまり力を入れずボーっと見ていたグランプリファイナルで、日本人選手の鮮烈な演技を目の当たりにしました。

【真剣なアスリートと無邪気な少年の2つの顔を持つ選手】

それはたまたま見ていたファイナルの男子フリーで、ドラマチックな音楽に乗せ4回転を含む高難度ジャンプを次々に決め、ステップでは儚さと荒々しさを兼ね備えた独特の個性で魅了した、羽生結弦選手の「ロミオ+ジュリエット」でした。

ロミオ&ジュリエット [DVD]

高難度ジャンプを次々と決めてジャンプの音ハメも素晴らしく、これはノーミスかと期待していたら最後のジャンプでぐらついてしまい、最後のポーズで両手を広げた後ムンクの叫びのようにペチンと頬を覆い、演技中の鬼気迫る表情とのギャップに一目ぼれしてしまいました。

ブロッコリーハイブリッドスリーブ エドヴァルド・ムンク「叫び」 リバイバル

採点待ちでこのムンクの叫びの表情が画面に映し出されたとき、その真似をして頬を覆っている姿も愛嬌があり、点数が出たときにはイエーイと大声を出して喜び、阿部奈々美コーチと抱き合う姿はほほえましかったです。

このプログラムは阿部コーチの振付と編曲が素晴らしく、10代の彼にしか出せない儚さと荒々しさを見事に表現していたと思います。

その後行われた全日本では、フリーの最後のジャンプでまたぐらついてしまい、同じミスをしたのが許せないのか本気で悔しそうな表情をしていましたが、それでも3位となり初めて表彰台に上がり、世界選手権への出場を決めました。

【脆さと強さと美しさを全てさらけ出した渾身の演技】

そして迎えた世界選手権では惜しくも最終グループ入りを逃し迎えたフリー、ここでも彼はジャンプを次々と決めて見せ場のステップで魅了し順調かと思われたそのとき、突然ビターンと派手に転倒、あまりのことに驚き思わず「頑張れ!」と念を送ってしまいました。

しかしそこからすぐさまトリプルアクセル-トリプルトウループを決め、見事なリカバリーを見せて鬼気迫る表情で最後のステップに入り、勝負となる最後のジャンプも見事に成功させ、ようやく全てのジャンプをノーミスで揃えることができました。

演技が終わると凄い形相で右手を突き上げ、俺が世界一だと言わんばかりに人差し指を高々と上げる姿には恐ろしさも感じつつ、その後観客にお辞儀する前に余韻を噛みしめるように目を閉じた時の美しい表情、そして阿部コーチとの抱擁は映画以上に感動的なシーンでした。

ワールド・フィギュアスケート 53

そしてこのフリーで物凄い追い上げを見せた結果、ショート7位からごぼう抜きして3位まで追い上げ、初出場で表彰台に上がるという快挙を成し遂げました。

今や世界新記録を更新し続ける偉大な選手となった羽生くんですが、私はこのシーズンの「ロミオ+ジュリエット」が男子フリーでは一番好きで、彼の個性が音楽や振付と見事に一体化したこのときの彼にしかできない演技で、私を男子フィギュアの世界に引き込んだとても大切な作品です。

ロミオ&ジュリエット ロミオ&ジュリエット(2)

そんな素敵な作品に出会い男子フィギュアにのめりこんでいった私が、ついに翌シーズン初の生観戦へと踏み出す様子を次回はお話しします。

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