大好きな美姫ちゃんが休養を発表した2011年、あまり力を入れずボーっと見ていたグランプリファイナルで、日本人選手の鮮烈な演技を目の当たりにしました。
【真剣なアスリートと無邪気な少年の2つの顔を持つ選手】
それはたまたま見ていたファイナルの男子フリーで、ドラマチックな音楽に乗せ4回転を含む高難度ジャンプを次々に決め、ステップでは儚さと荒々しさを兼ね備えた独特の個性で魅了した、羽生結弦選手の「ロミオ+ジュリエット」でした。高難度ジャンプを次々と決めてジャンプの音ハメも素晴らしく、これはノーミスかと期待していたら最後のジャンプでぐらついてしまい、最後のポーズで両手を広げた後ムンクの叫びのようにペチンと頬を覆い、演技中の鬼気迫る表情とのギャップに一目ぼれしてしまいました。
採点待ちでこのムンクの叫びの表情が画面に映し出されたとき、その真似をして頬を覆っている姿も愛嬌があり、点数が出たときにはイエーイと大声を出して喜び、阿部奈々美コーチと抱き合う姿はほほえましかったです。
このプログラムは阿部コーチの振付と編曲が素晴らしく、10代の彼にしか出せない儚さと荒々しさを見事に表現していたと思います。
その後行われた全日本では、フリーの最後のジャンプでまたぐらついてしまい、同じミスをしたのが許せないのか本気で悔しそうな表情をしていましたが、それでも3位となり初めて表彰台に上がり、世界選手権への出場を決めました。
【脆さと強さと美しさを全てさらけ出した渾身の演技】
そして迎えた世界選手権では惜しくも最終グループ入りを逃し迎えたフリー、ここでも彼はジャンプを次々と決めて見せ場のステップで魅了し順調かと思われたそのとき、突然ビターンと派手に転倒、あまりのことに驚き思わず「頑張れ!」と念を送ってしまいました。しかしそこからすぐさまトリプルアクセル-トリプルトウループを決め、見事なリカバリーを見せて鬼気迫る表情で最後のステップに入り、勝負となる最後のジャンプも見事に成功させ、ようやく全てのジャンプをノーミスで揃えることができました。
演技が終わると凄い形相で右手を突き上げ、俺が世界一だと言わんばかりに人差し指を高々と上げる姿には恐ろしさも感じつつ、その後観客にお辞儀する前に余韻を噛みしめるように目を閉じた時の美しい表情、そして阿部コーチとの抱擁は映画以上に感動的なシーンでした。
そしてこのフリーで物凄い追い上げを見せた結果、ショート7位からごぼう抜きして3位まで追い上げ、初出場で表彰台に上がるという快挙を成し遂げました。
今や世界新記録を更新し続ける偉大な選手となった羽生くんですが、私はこのシーズンの「ロミオ+ジュリエット」が男子フリーでは一番好きで、彼の個性が音楽や振付と見事に一体化したこのときの彼にしかできない演技で、私を男子フィギュアの世界に引き込んだとても大切な作品です。
そんな素敵な作品に出会い男子フィギュアにのめりこんでいった私が、ついに翌シーズン初の生観戦へと踏み出す様子を次回はお話しします。
![にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ](http://sports.blogmura.com/skating/img/skating125_41_z_oni.gif)
にほんブログ村