Sunday, September 18, 2016

長年男子を率いた選手の全日本の最後

フィギュアスケートdays vol.8 巻頭特集:2008全日本選手権/織田信成インタビュー

オリンピックシーズンの全日本二日目は、非常に見ごたえのあった女子ショートの後に勝負の男子フリーが控えるという、観る方にとっても心臓が持たないほど長い一日でしたが、そんな男子フリーもついに佳境を迎えました。

【最後の最後に自分らしさを出せた選手】

羽生くんの次に登場した有力候補は、現役最後のシーズンとして、ショート5位から逆転のオリンピック出場を狙う織田くんでした。

「ウィリアム・テル序曲」に乗せて彼の全日本最後の演技が始まり、今日こそは4回転が決まりますようにと祈りながら見つめた最初のジャンプ、4回転トウループ-トリプルトウループを猫足着氷で鮮やかに決め、興奮が高まっていく中迎えた2本目の4回転トウループはトリプルになりながらも何とかこらえました。

次のコンビネーションジャンプでトリプルトウループを飛ばないか心配でしたが、予定通りトリプルアクセル-ダブルトウループのコンビネーションにしてザヤックは回避できて安心しました。

そして演技は後半に入り、2本目のトリプルアクセルを柔らかく着氷すると、続くトリプルルッツ-シングルループ-トリプルサルコウの3連続も美しく、トリプルフリップも綺麗に決めて持ち前の美しいジャンプで観客を惹きつけました。

続くトリプルループも何とかこらえると、おなじみのメロディーに乗せて観客の手拍子がどんどん大きくなり、盛り上がってきたところで最後のジャンプ、ダブルアクセルを決めて笑顔で最後のステップを迎えました。

最後に笑顔でのびのび滑ることができて良かったなと思うと、嬉しさと同時に切なさが押し寄せてきて、手拍子しながら最後のスピンまでしっかりと目に焼き付けました。

最後まで笑顔で滑り切った素晴らしい演技に、終わった瞬間から観客は続々と立ち上がり、自分らしさとともにまとめ上げた彼の全日本の最後は、心に染み入る美しい時間でした。

【会場の和やかな空気の中一人噛みしめる切なさ】

この魂のこもった演技で178点台という高得点を出し、点数を見て笑顔で満足そうにうなずいていましたが、コーチのお母さんと抱き合った後には感極まったのか泣き顔に変わり、織田くんのトレードマークでもある泣き顔に会場からは笑いが起きていました。

しかしショートで決まらなかった4回転を決めるなど、全日本最後のフリーで意地を見せ自分らしく滑った織田くんの勇姿を見て切なくなり、いつもは微笑ましいなと思っていた彼の泣き顔を見ても、このときの私は笑うことができませんでした。


織田くんの素晴らしい演技に会場は盛り上がる一方、私自身は切なさに襲われていましたが、この後もまだまだ続く有力選手のドラマに心を揺さぶられる様子は次回お話しします。

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