Friday, September 30, 2016

一皮むけて大人の選手に成長した瞬間

ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2013年ISUグランプリシリーズ - ロステレコム杯Beautiful moments of ISU Grand Prix Cup of Rostelecom Moscow 2013 (ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2013年ISUグランプリシリーズ - ロステレコム杯Beautiful moments of figure skating)

オリンピック代表を決める最終選考会となった2013年の全日本では、最終種目の女子フリーも最終グループとなり、現役最後のシーズンとして臨んだベテラン勢の演技に一喜一憂しながら、それぞれの選手の全日本最後の演技を見届けていました。

【大舞台でも落ち着いた演技で魅せられる強さ】

そんな中初のオリンピック出場を目指す若手選手として登場したのは、前回のオリンピックの翌シーズンに鮮烈なシニアデビューを果たし、ショートではその頃の爆発力を彷彿とさせる素晴らしい演技で3位となった佳菜子ちゃんでした。

美しい青のグラデーションの衣装を身にまとい、「Papa, Can You Hear Me?」のしっとりした旋律に乗せて、冒頭のトリプルトウループ-トリプルトウループのコンビネーションを綺麗に決め、続くトリプルルッツとトリプルループも決めて順調な滑り出しを見せました。

そしてステップではキレのある動きで観客を惹きつけ、後半もトリプルフリップからのコンビネーションを落ち着いて決めると、続くトリプルフリップとダブルアクセルも鮮やかに決め、失敗する気配がありませんでした。

その勢いのまま最後のジャンプ、トリプルサルコウからの3連続を軽やかに決めると、スパイラルから全身を大きく使った表現で魅了し、最後は美しいビールマンスピンで締めくくりました。

この「Papa, Can You Hear Me?」は私のハンドルネームの由来でもあるアメリカのドラマ「glee」で初めて聴いてからずっと気に入っていた曲でしたが、シニアデビューの「ジャンピン・ジャック」でのはつらつとした印象が強かった佳菜子ちゃんが、こういったしっとりした曲で魅せられるようになるとはあの頃は想像もつきませんでした。

パパ、私の声が聞こえる? featuring レイチェル

【無邪気な少女から大人のアスリートへの成長】

まだジュニアだった4年前のオリンピックシーズンのフリーでは、前の滑走だった明子ちゃんの高得点を自分のことのように喜んでいて、舞い上がりすぎたのか演技開始の位置を間違えたり最初のジャンプがシングルになったりとお茶目な一面を見せていたのが印象的でしたが、自分がオリンピックを目指す立場となったこの全日本ではもうあの頃の面影はありませんでした。

演技中はゾーンに入っているような無敵の状態に見え、演技が終わると満足げに何度もガッツポーズを繰り返すその姿は、もはや幼くあどけない少女ではなく、闘争心あふれる立派なアスリートに見えました。

元々彼女は長い手足を生かしたスピンやステップが上手いなと思っていたので、ジャンプが決まれば本当に爆発力のある選手だなと改めて感じるとともに、このしっとりした曲で一皮むけて大人の演技ができる選手へと成長したなと思いました。

この完成された演技に会場からは大歓声とともにスタンディングオベーションが送られ、得点も135点台という高得点を叩き出し、総合得点は200点を超え最終滑走者を残して2位となり、この熾烈な戦いとなった全日本で見事表彰台が確定しました。

シネマ・セレナーデ

こうして若手選手の成長を見届けた後、いよいよこの全日本を締めくくる最後の選手が登場し、オリンピックへの過酷な戦いの結末を見届ける様子は次回お伝えします。

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