世界一過酷なオリンピック選考会となった2013年の全日本二日目は、女子ショートから男子フリーまで次々とドラマが巻き起こる長い長い一日でしたが、ついに男子フリーの最終滑走者を残すのみとなりました。
【世界一過酷な男子の最終決戦の結末】
男子フリーを締めくくる最終滑走として登場したのは、大ちゃんや織田くんとともに3強として前回のオリンピックに出場するなど長い間日本男子を引っ張り、ショート3位で再びオリンピックを狙える位置につけた小塚くんでした。「序奏とロンド・カプリチオーソ」に乗せて全日本の男子最後の演技が始まり、緊張の中迎えた冒頭の4回転を何とかオーバーターンでこらえ、続くトリプルアクセルを鮮やかに決めると、トリプルルッツからの3連続も決めて順調な滑り出しを見せました。
そして後半に入り最初のジャンプ、トリプルアクセルからのコンビネーションを決めると、トリプルフリップにトリプルサルコウと落ち着いてジャンプを決めていき、さらに上品で軽やかなステップで魅了し会場からは自然と手拍子が上がりました。
いよいよ曲は終盤に入ると、2本目のトリプルルッツでまさかの転倒、会場からはああっと声が上がりましたが、最後はイーグルからダブルアクセル-ダブルトウループのコンビネーションを決めて美しい高速スピンで演技を締めくくりました。
ショートと同じく冒頭の4回転を何とかこらえ、このまま大きなミスなくまとめるかと思ったところでまさかの転倒というのは、彼の前に滑った町田くんと同じく最後に拍子抜けしてしまうような展開でしたが、上品な音楽に乗せて彼の上質な滑りを楽しめる素敵な作品でした。
そしていよいよ最終順位が決まる得点発表では、174点台という点数が発表され、彼はショートの3位という順位を守り全日本の表彰台が確定しました。
【若き才能が溢れる中でも輝きを放つベテランの魅力】
上位5選手が250点以上という過去最高レベルの戦いとなった全日本男子シングルは、羽生くん優勝、町田くん2位、小塚くん3位という結果で、1年前に私が初めて生観戦したスケートアメリカの表彰台と同じ顔ぶれとなりました。1年前のスケートアメリカを見に行ったときはフライトの時間が迫っていて、日本勢が独占した表彰台を見ることなく会場を後にしたのが心残りだったので、ようやくこの3人の表彰台が見られるのかと思うと、あのときのスケアメがこの全日本に導いてくれたのかなと感慨深いものがありました。
しかしその一方で、この日表彰台に上がった3人以上に印象に残ったのは、若手に食らいついていこうとベテランながら2本の4回転に挑み、最後まであきらめず自らの個性を存分に生かし輝きを放っていた織田くんと大ちゃんの演技でした。
男子シングルにのめりこむきっかけとなった羽生くんや、同い年の選手として特別な想いで応援していた町田くんが、1年前のスケートアメリカから急成長を遂げてオリンピック代表に選ばれるというのは、私がずっと望んでいたことでした。
しかしこの全日本では小塚くんのショートの7拍子のリズムに乗せた軽快な滑り、織田くんのフリーの猫足着氷で次々と決める美しいジャンプ、そして大ちゃんのフリーの血に染まりながらも観客を惹きつける華麗な表現を目の当たりにして、日本男子に長年君臨してきた3強の魅力に今さらながら気づいてしまいました。
これまで応援してきた羽生くんと町田くんの躍進により、そんなかつての3強がオリンピックの代表枠を争わなければならないという現実は辛いものがあり、3枠では足りない・・・・・・4枠でも足りない・・・・・・5枠あればみんなが幸せになれたのに・・・・・・5人とも入賞できる力があるのにと、やりきれない気持ちを胸に抱えたまま会場を後にしました。
そんな複雑な想いを抱えたまま全日本最終日となり、いよいよ女子の戦いも決着のときを迎える女子フリーの様子は次回お伝えします。
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