オリンピックシーズンにグランプリファイナルが日本で開催されるという、日本のフィギュア界に追い風が吹いている状況の中、日本勢にとっては悲喜こもごもの男子ショートを終え、いよいよ勝負のフリーを迎えました。
【追い詰められたときに力を発揮できる強さ】
ショート最下位でフリー第一滑走となったのは、まさかの日本勢トップでファイナル進出を決めた町田くんでした。固唾を飲んで見守ったフリーの「火の鳥」では、冒頭の4回転トウループを綺麗に決めると、2本目の4回転に2回転を付けてコンビネーションにして、初めて4回転を2本とも完璧に成功させました。
続くトリプルアクセルに3回転を付ける予定が2回転になったものの、前半のジャンプにミスが出なかったことで勢いに乗り、後半のジャンプも一つ一つ丁寧に決めていき、細かい手の動きを織り交ぜた華麗な振付で観客を魅了していきました。
後半は3連続のジャンプが2連続になりましたが、それ以外は予定通りの構成で全てのジャンプを綺麗に決め、フィニッシュでためてポーズを取った後、両手で顔を覆いうずくまりました。
前日のショートの不調から立て直すのがどれだけ大変だったか、感極まる彼を見ているとその想いが伝わってくるようで、見ているこちらまで感極まってしまいました。
【演じる人と見守る人それぞれの想い】
このファイナルでも解説の佐野稔さんが「火の鳥が飛び立ちましたよ!」と大絶賛で、実況のアナウンサーも思わず「まつき」と名前を間違えるほど大興奮でしたが、町田くんだけでなく稔さんも涙しているとのアナウンサーの言葉を聞いて、長年町田くんを見守ってきた稔さんの想いが伝わってきました。演技後のインタビューでは日本開催のため恩師や家族が見に来ていると話しており、さらに日本のファンも見守る中ショートで力を出せなかったことが悔しく、フリーに全てをぶつけて今までの想いを身体表現で語ったとの言葉に、日本開催の試合にかける強い想いがこの美しい演技を生んだのかと感銘を受けました。
このときの「火の鳥」はジャンプを含む全ての要素を加点付きで綺麗にまとめ、中盤のキャメルスピンで右手を羽のようにひらひらとはためかせたり、トリプルルッツの直後に両手をくるくると華麗に回したりと、細かい振付も丁寧に表現していて美しく洗練された極上の作品に仕上がっていました。
そんな様々な想いがこもった芸術作品を堪能した後は、いよいよ熾烈な優勝争いが佳境を迎えますが、思いがけない展開となったフリーの続きは次回お話しします。
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