Friday, August 5, 2016

世界選手権デビューは予想外の結末


ジュベールの貫禄の演技とそれを惜しみなく賞賛する観客の熱気を目の当たりにし、押し寄せる感情の波に飲まれそうになっていた世界選手権の男子フリーですが、まだ最終グループは終わってないんだと気合を入れ直して最終局面に臨みました。

【ロンドンワールド最大の番狂わせ】

ジュベールの低得点に対するブーイングで会場が異様な空気に包まれる中、ショートで素晴らしい演技を見せ2位につけたテンくんが登場しました。

ショートと合わせて二部作となっている「アーティスト」の音楽に乗せ、冒頭の4回転とそれに続く2本のトリプルアクセルを美しく決めて勢いに乗ると、素晴らしい音感で見事に緩急をつけた表現で惹きつけ、音楽の魅力を最大限に引き出し観客を引き込んでいきました。

そして後半のジャンプも3回転が1つ2回転になった以外は全て完璧に決め、最後のジャンプを決めると荒ぶるステップで会場を盛り上げ、選手と会場が一体化した最高のエンディングを迎えました。

ショートではノーミスでもスタンディングオベーションが少なかったテンくんですが、フリーでは観客の心を見事につかみ会場は総立ちで、やっと彼が認められたと嬉しくなりました。

本人も会心の演技に何度もガッツポーズを繰り返し、氷にキスして喜びをかみしめていました。

これはすごい得点が出そうだと期待していると、170点を超える高得点が出て会場は大興奮となり、さらに最終滑走者を残し暫定2位となり表彰台が確定すると、会場から大きな悲鳴が巻き起こりました。

私もようやくテンくんが世界の舞台で結果を出せたんだと感無量になり、順位が出た瞬間他の観客と同じく悲鳴を上げ、いろんな思いがこみ上げ号泣してしまいました。

一つの才能が花開く瞬間はこれだけ感動的なものなんだと肌で感じ、覚醒する瞬間をこの世界選手権で見せてくれたテンくんには本当に感謝しています。

羽生くんやジュベールは音楽を自分の色に染めることによって観客を引き込むタイプですが、テンくんは抜群の音感で音楽の魅力を最大限に引き出し、どんなに荒ぶっても一つ一つの動きが音をうまくとらえており、体から音を奏でているかのような表現で魅了するタイプの選手だと思います。

この世界選手権だけで男子シングルの様々な個性を感じることができ、フィギュアスケートって面白いなと改めて実感しました。


【カナダ勢の活躍と新たな選手の躍進】

そしてテンくんの大躍進に盛り上がる中最終滑走で登場したのは、自国開催の世界選手権のショートで自己最高の演技を見せ、カナダ人の観客の期待に見事に応えたケヴィンでした。

ショートと同様に物凄い歓声で迎えられたケヴィンでしたが、フリーではパトリックと同じくミスが重なり、四大陸選手権の再現とはなりませんでした。

ですがショート3位の得点と合わせて最終順位は5位と自己最高の成績を収め、パトリックもショート1位の貯金で逃げ切り見事3連覇し、カナダ勢は素晴らしい結果となりました。


そして日本勢は羽生くんが4位で最高順位となり表彰台は逃しましたが、大ちゃんが6位で無良くんが8位という結果で、みんなの頑張りが実り無事3枠を確保することができました。

そしてショートとフリーで見事に「アーティスト」の作品を完成させたテンくんは、ショート2位でフリーは1位という素晴らしい成績で、総合で2位となり世界選手権初のメダルを獲得しました。


今回の世界選手権は様々な番狂わせがあり予想外の結果となりましたが、お気に入りの選手の素晴らしい演技を生で見ることができ、さらに新たな選手の躍進を目撃することができて、見に来て良かったと心から思いました。


そして次のオリンピックシーズンではまた新たな選手の躍進を目の当たりにし、その選手にどんどんハマっていくことになるのですが、そのきっかけとなった演技について次回はお話ししたいと思います。

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