Monday, January 16, 2017

日本の観客の恐るべき適応能力の高さ

Vol. 7-Crime Scene

2014年のソチオリンピックの後にさいたまで行われた世界選手権では、3日目の男子フリーで日本男子が壮絶な優勝争いを繰り広げ、ショート3位の羽生くんがフリーで追い上げてショート1位の町田くんと0.33点差でトップに躍り出るというドラマチックな展開となりましたが、羽生くんに続いてショート2位のハビエルが登場しました。

日本男子を破って優勝する可能性のあるハビエルに対し、アボットのときと同じように会場から大声援が送られるのを見て、日本の観客は何て温かいんだろうと感動し、生で観るのはNHK杯以来となるハビエルのフリーを楽しみにしていました。

【会場を盛り上げるエンターテイナーの演技】

「ピーター・ガン」のリズミカルな音楽に乗せてハビエルの演技が始まり、冒頭の4回転トウループを鮮やかに決めると、4回転サルコウはオーバーターンになりながらも何とかダブルトウループをつけ、トリプルアクセルも決めて順調な滑り出しを見せました。

そしてコミカルな曲に乗せてスピンとステップを披露し、妖しげな曲調に変わると会場の興奮が徐々に高まり、サックスの旋律に合わせた色気あふれる振付で「ヒュー!」と歓声が上がる中、後半の4回転サルコウを軽やかに決めました。

しかしトリプルルッツ-ダブルトウループのルッツがシングルに抜けてしまい、「あー・・・・・・。」と残念そうな声が会場に響く中、続くトリプルループは綺麗に決めて立て直すと、トリプルフリップ-シングルループ-トリプルサルコウの3連続も決めました。

再びコミカルな曲に変わると会場から手拍子が上がり、リズミカルな音楽に合わせた手拍子で盛り上がる中スピンとコレオシークエンスを披露し、トリプルサルコウも見事に決めると、最後のスピンが終わる前から会場は大歓声に包まれました。

NHK杯のフリーでは妖しげな曲調になると私自身戸惑いを隠せず、他の観客も戸惑っていたからか会場はあまり盛り上がりませんでしたが、この世界選手権では観客も大歓声で見せ場を盛り上げていて、日本の観客は適応能力も素晴らしいなと思いました。

初めてNHK杯でこのフリーを観たときはオリンピックシーズンにとんでもないプログラムを持ってきたなと感じていましたが、この世界選手権でさらに完成度を高めたフリーを改めて観てみると、最初から最後まで様々な展開があってワクワクするプログラムだなと感じ、試合とは思えないほど楽しんでいる自分がいました。

【激戦を勝ち抜いた価値ある優勝】

ハビエルはこの誰もが楽しめるフリーで179点台という高得点を叩き出し、最終結果は羽生くん優勝、町田くん2位、ハビエル3位となりました。

この世界選手権ではソチオリンピックの金メダリストである羽生くんが0.33点差で辛うじて優勝を勝ち取り、これから羽生くんの時代がやってくるんだろうなと思っていましたが、まさかこの後2シーズン続けて世界選手権で優勝を逃すとは思わず、今となってはこのとき優勝しておいたのは羽生くんにとって凄く大きかったなと思います。

Harlem Nocturne (Instrumental) (1996 Digital Remaster)

こうして男子の激しい戦いが終わり私は一度さいたまを離れますが、自宅でお茶の間観戦した女子フリーで印象に残った演技について次回はお伝えします。

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