Wednesday, February 15, 2017

【最新】機内で味わう試合さながらの緊張感


チェコのオストラバで開かれるヨーロッパ選手権を観戦するため、公式練習が始まる前日の早朝に飛行機でプラハへと旅立ちましたが、プラハ空港に到着する予定の8時20分を過ぎても、飛行機はまだプラハの上空にいました。

【プラハに着陸できない飛行機】

そもそも飛行機が動き出してから離陸するまでに時間がかかり、離陸の時点で20分以上予定時刻を過ぎていたので、予定通りの時間には着かないだろうなと思っていましたが、パイロットの機内アナウンスで異変に気付きました。

パイロットの方によると空港周辺は霧が濃く、空港から着陸許可が出ない状態なので、15分ほど空港からの連絡を待ち、許可が出たら着陸するとのことでした。

燃料は十分あるので9時か10時頃には着陸できるようにしたいとのことでしたが、窓の外を見てみると確かに真っ白で、もし霧が晴れなかったら引き返すのだろうかと不安になり、祈るように窓の外を見つめていました。

しばらくすると再び機内アナウンスがあり、まだ霧が晴れないから45分から50分ほど上空で待機して空港からの連絡を待つとのことで、これはプラハにすらたどり着けないかもしれないと、いよいよ本格的に不安になってきました。

しかし数分後に再びパイロットの機内アナウンスが流れ、熱で少し霧を飛ばして着陸できる状態になったのでこれから着陸するとのことで、無事着陸できそうで良かったと一安心し、プラハに着いてからの日程を確認していました。

そして飛行機は徐々に高度を下げて着陸態勢へと入りましたが、突然方向転換して再び上昇し始め、多分旋回してるんだろうなと自分に言い聞かせていると、再び機内アナウンスが流れました。

何と再び霧が濃くなって着陸できなくなったため、また15分ほど上空で待機するとのことで、あの急上昇はやはり着陸を断念したからなのかと嫌な予感が当たってしまい、着陸できず引き返すという最悪のシナリオが頭をよぎりました。

【最悪の天候とパイロットの頑張り】

どうか霧が晴れますようにと願いながら窓の外を見つめていると、再びパイロットの機内アナウンスが流れ、空港から許可が出たのでもう一度着陸にチャレンジしてみるとのことで、今度こそうまくいきますようにと祈っていました。

再び飛行機は高度を下げて着陸態勢へと入りましたが、霧で視界がどんどん悪くなっていき、もはやスケーターを応援するかのように、パイロットの方に「頑張れ!」と念を送っていました。

視界は悪いものの何とか地上の景色は見渡せる状態で、どんどん地面が近づいていくのがわかり、「もう少し、頑張れ!」と心の中で応援していると、ようやく空港の地面が見えました。

そしてガタッという音で無事着陸したことがわかり、演技を終えたスケーターに拍手するようにパイロットの方にも拍手を送りたくなり、音を出さずにエア拍手していると何と乗客から本物の拍手が沸き起こり、私も精一杯拍手して乗客みんなでパイロットの頑張りを称えました。

こんなにハラハラするフライトは生まれて初めてで試合に行く前からスケーターの演技を見届けているような緊張感を味わいましたが、着陸したときも遠くが見えないほど霧が濃かったので、もう予定時刻から1時間遅れたことなどどうでもよく、こんな状況の中見事に着陸したパイロットの方を心から称えたいなと思いました。


こうしてパイロットの頑張りのおかげで何とかプラハまでたどり着き、いよいよ目的地のオストラバへと向かう様子は次回お話しします。

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Friday, January 20, 2017

【最新】初めてのユーロ観戦に向けて


来週からチェコのオストラバでヨーロッパ選手権が行われるということで、今回初めてユーロを現地観戦する予定なので、フィン杯のときと同様これまでの観戦記録を一旦中断し、タイトルに【最新】とつけて最新の観戦記録を綴りたいと思います。

今年のユーロの日程は公式練習が1月23日から始まり、試合は25日から28日の4日間にわたって開催され、エキシビションは29日に行われるということで、今回は初日の公式練習から最終日のエキシビションまでしっかり観てきたいと思います。

【ユーロのチケット購入方法】

まずはユーロのチケットについてですが、オールイベントチケットを買えば公式練習からエキシビションまで全て観られますが、最初は全日程観られるかわからなかったのでとりあえず男子のショートとフリーとエキシビションが観られるように、27日から29日のデイリーチケットをオンラインで購入しました。

デイリーチケットでは公式練習は観られないかもしれないなと思っていましたが、何とデイリーチケットしか持っていない人や試合のチケットを持っていない人でも、公式練習のチケットは初日の23日から会場のオストラバアリーナのレジで1日200円程度で購入できるとのことだったので、フィン杯で公式練習を堪能した私は迷わず初日の公式練習から見学することにしました。

【オストラバまでの移動手段】

続いてオストラバまでの交通機関についてですが、最初は最寄りのオストラバ空港まで飛行機で行く予定でしたが、値段を調べてみるとプラハ空港まで飛行機で行ってそこから列車でオストラバへ行く方が2万円ほど安くなることがわかったので、プラハからオストラバまで列車で移動することにしました。


プラハ空港から30分おきに出ているAirport Express(AE)というバスがプラハ中央駅まで乗り換えなしで直通なので、値段は普通の路線バスの倍近くしますが、それでも300円程度で乗れるということで、フィンランドのバスに悪戦苦闘した私は素直にこのバスに乗りたいと思います。


そしてプラハ中央駅でバスを降りるとチケット売り場へとつながるエレベーターがあるということなので、そのエレベーターに乗ってチケット売り場へと向かい、オストラバ=スヴィノフ駅までのチケットを1500円前後で購入し、プラハからオストラバまで3時間ほどかけて列車で移動したいと思います。


オストラバの交通機関は24時間乗り放題のチケットに加え、7日以上の場合は指定日数分乗り放題のチケットも販売しているとのことなので、移動のたびにチケットを買わなくて済むように、滞在する9日間乗り放題のチケットをあらかじめ購入しておきたいと思います。

会場まではトラムを利用することになると思いますが、最寄りのSport Arena駅には2・3・7・11・19番のトラムが止まるので、宿の最寄りのトラム乗り場からSport Arena駅までトラムで移動し、そこから徒歩5分ほどで会場のオストラバアリーナに到着します。


前回フィンランドでは交通機関をうまく使いこなせず悪戦苦闘したので、今回チェコに行くのが初めてなのもあり事前に下調べを済ませ、さらにコリャダくんの人形とバナーも完成させて準備万端で現地入りする予定ですが、全て予定通りスムーズにいくかどうかはわからないので現地で起こったことをそのまま綴っていきたいと思います。



次回からいよいよ今年初めての大きな国際試合、ユーロの観戦記録を綴っていきたいと思います。

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Wednesday, January 18, 2017

おそロシア時代の到来を確信した演技

パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉 オリジナル・サウンドトラック

オリンピックシーズンの集大成となった2014年の世界選手権を3日間現地観戦し、男子はソチオリンピックの金メダリストである羽生くんが激戦を制し、羽生くんのスケート人生において大きな意味を持つワールドのタイトルを勝ち取る瞬間を目の当たりにしましたが、女子フリーだけは現地で観られなかったので自宅で見届けていました。

女子はショートで世界記録を更新した真央ちゃんを始め、カロリーナ・コストナーやユリア・リプニツカヤなどオリンピックのメダリスト達が注目を集める中、女子フリーで目を引いたのはソチオリンピックにも出場していなかったロシアの若手、アンナ・ポゴリラヤでした。

【ロシア女子の脅威を感じた演技】

「パイレーツ・オブ・カリビアン」の迫力ある音楽に乗せてポゴちゃんの演技が始まると、15歳とは思えない大人びた雰囲気と独特のオーラに惹きつけられ、冒頭のトリプルルッツ-トリプルトウループを鮮やかに決めると、さらに畳みかけるようにトリプルループ-シングルループ-トリプルサルコウの3連続も見事に決めました。

序盤から高難度ジャンプが続く見ごたえのあるプログラムにあっという間に引き込まれていき、2本目のトリプルルッツも軽やかに決めると、長い手足を生かしたスピンや全身を大きく使ったステップで惹きつけ、そのダイナミックな演技は曲の迫力にも負けておらず大器の片鱗を感じました。

そして神秘的な曲調に変わり後半に入ると、トリプルループに片手を上げたダブルトウループをつけて美しく決めて、さらにダブルアクセルを決めるとスタイルの良さが映えるスパイラルで魅了し、2本目のダブルアクセルとトリプルフリップも決めて恐るべき安定感を見せました。

続いて美しいレイバックスピンを披露すると再び迫力ある曲調に変わり、最後は長い脚を高速で勢いよく回すド迫力のスピンで、手足が長すぎてコントロールしきれていない様子でしたが、粗さがありながらも15歳とは思えない堂々たる演技で観客を魅了しました。

【ロシア女子の台頭を確信した瞬間】

この「パイレーツ・オブ・カリビアン」は迫り来る恐ろしさを感じるような曲調のプログラムでしたが、ダイナミックな演技で曲負けしないオーラを放つポゴちゃんにただならぬものを感じ、また後半の神秘的な曲調では15歳とは思えないほど妖艶で謎めいた雰囲気に惹きつけられ、このプログラムにはロシア女子の底知れぬ怖さと魅力が詰め込まれているなと感じました。

この圧巻の演技で131点台という高得点を叩き出してフリーでは3位となり、総合得点は4位で惜しくも表彰台を逃しましたがフリーの技術点では優勝した真央ちゃんを上回ってトップとなり、このシーズンのオリンピックと世界選手権ではロシア女子は2枠しかありませんでしたが、ポゴちゃんのこの演技を観てこれから女子はおそロシアの時代がやってくるなと確信しました。


ここまで2014年の世界選手権について振り返ってきましたが来週からヨーロッパ選手権を観戦する予定なので、次回からはヨーロッパ選手権についてお話ししたいと思います。

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Monday, January 16, 2017

日本の観客の恐るべき適応能力の高さ

Vol. 7-Crime Scene

2014年のソチオリンピックの後にさいたまで行われた世界選手権では、3日目の男子フリーで日本男子が壮絶な優勝争いを繰り広げ、ショート3位の羽生くんがフリーで追い上げてショート1位の町田くんと0.33点差でトップに躍り出るというドラマチックな展開となりましたが、羽生くんに続いてショート2位のハビエルが登場しました。

日本男子を破って優勝する可能性のあるハビエルに対し、アボットのときと同じように会場から大声援が送られるのを見て、日本の観客は何て温かいんだろうと感動し、生で観るのはNHK杯以来となるハビエルのフリーを楽しみにしていました。

【会場を盛り上げるエンターテイナーの演技】

「ピーター・ガン」のリズミカルな音楽に乗せてハビエルの演技が始まり、冒頭の4回転トウループを鮮やかに決めると、4回転サルコウはオーバーターンになりながらも何とかダブルトウループをつけ、トリプルアクセルも決めて順調な滑り出しを見せました。

そしてコミカルな曲に乗せてスピンとステップを披露し、妖しげな曲調に変わると会場の興奮が徐々に高まり、サックスの旋律に合わせた色気あふれる振付で「ヒュー!」と歓声が上がる中、後半の4回転サルコウを軽やかに決めました。

しかしトリプルルッツ-ダブルトウループのルッツがシングルに抜けてしまい、「あー・・・・・・。」と残念そうな声が会場に響く中、続くトリプルループは綺麗に決めて立て直すと、トリプルフリップ-シングルループ-トリプルサルコウの3連続も決めました。

再びコミカルな曲に変わると会場から手拍子が上がり、リズミカルな音楽に合わせた手拍子で盛り上がる中スピンとコレオシークエンスを披露し、トリプルサルコウも見事に決めると、最後のスピンが終わる前から会場は大歓声に包まれました。

NHK杯のフリーでは妖しげな曲調になると私自身戸惑いを隠せず、他の観客も戸惑っていたからか会場はあまり盛り上がりませんでしたが、この世界選手権では観客も大歓声で見せ場を盛り上げていて、日本の観客は適応能力も素晴らしいなと思いました。

初めてNHK杯でこのフリーを観たときはオリンピックシーズンにとんでもないプログラムを持ってきたなと感じていましたが、この世界選手権でさらに完成度を高めたフリーを改めて観てみると、最初から最後まで様々な展開があってワクワクするプログラムだなと感じ、試合とは思えないほど楽しんでいる自分がいました。

【激戦を勝ち抜いた価値ある優勝】

ハビエルはこの誰もが楽しめるフリーで179点台という高得点を叩き出し、最終結果は羽生くん優勝、町田くん2位、ハビエル3位となりました。

この世界選手権ではソチオリンピックの金メダリストである羽生くんが0.33点差で辛うじて優勝を勝ち取り、これから羽生くんの時代がやってくるんだろうなと思っていましたが、まさかこの後2シーズン続けて世界選手権で優勝を逃すとは思わず、今となってはこのとき優勝しておいたのは羽生くんにとって凄く大きかったなと思います。

Harlem Nocturne (Instrumental) (1996 Digital Remaster)

こうして男子の激しい戦いが終わり私は一度さいたまを離れますが、自宅でお茶の間観戦した女子フリーで印象に残った演技について次回はお伝えします。

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Friday, January 13, 2017

世界のトップを争う日本男子の黄金期

改訂版 - ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2014年ISU世界選手権 Beautiful Moments of ISU World Figure Skating Championships 2014 Saitama Japan (Beautiful Moments of Figure Skating)

オリンピックシーズンにさいたまで行われた2014年の世界選手権では、3日目の男子フリーで町田くんが2シーズンかけて熟成させた「火の鳥」を見事に演じ切り、最後にして最高の「火の鳥」を観ることができましたが、その町田くんと優勝を争う羽生くんの登場で会場は再び熱気に包まれました。

ソチオリンピックの金メダリストとしてこの世界選手権に臨み、誰もが優勝候補の筆頭だと思っていましたが、ショートでは珍しく4回転トウループで転倒してしまい、ショート1位の町田くんとは7点差のショート3位でフリーを迎えました。

【逆転優勝を狙って死力を尽くしたフリー】

「ロミオとジュリエット」の激しい旋律に乗せて羽生くんの演技が始まると、冒頭の4回転サルコウを何とかこらえ、続く4回転トウループを鮮やかに決めると、トリプルフリップも決めて順調な滑り出しを見せました。

穏やかな曲調に変わって後半に入ると、トリプルアクセル-トリプルトウループを何とかこらえ、2本目のトリプルアクセルは両手を上げたダブルトウループをつけて美しく決めると、続くトリプルループも綺麗に決めました。

しかしトリプルルッツの着氷で乱れてしまい、ヒヤッとしましたがシングルループとトリプルサルコウを何とかつけてコンビネーションにつなげると、最後のトリプルルッツも見事に決め、見せ場のイナバウアーで会場は最高潮の盛り上がりとなりました。

【2シーズンで見せた急成長と強さの秘訣】

演技を終えると力尽きたのかそのままリンクにしゃがみ込み、2シーズン前のロミオとジュリエットでも最後にばてていたのを思い出しましたが、あれから2シーズンでとんでもない成長を見せたなと思うと感慨深く、会場も総立ちで羽生くんの勇姿を称えました。

このフリーではこらえるジャンプが多かった印象ですが、1年前の世界選手権のフリーでもジャンプをこらえながらも何とか最後まで滑りきっていたのが印象的で、それまで試合でなかなか決まらなかった4回転サルコウを、2年連続で世界選手権のフリーで降りるというのは驚異的だなと思いました。

そして初出場の世界選手権から3年連続でフリーのジャンプを全て降りていてピークを合わせるのが上手いなと感銘を受けましたが、世界選手権ではショートで出遅れてフリーで挽回するというパターンが続いていて、ソチオリンピックでは金メダルだったもののショート1位で迎えたフリーでミスが続き不本意な演技となってしまったので、追われるより追う立場になったときに底力を発揮するんだなと羽生くんの強さの秘訣を見た気がしました。

この渾身のフリーで191点台という高得点を叩き出し、総合得点は282.59点で町田くんと何と0.33点差で辛うじてトップに躍り出るというとんでもない逆転劇を見せ、町田くんの心情を思うと少し切なさも感じましたが、世界選手権で日本男子が優勝争いを繰り広げるという歴史的瞬間に立ち会えるなんて凄く幸せなことだなと思いました。


こうして男子フリーでは日本人同士で激しい優勝争いを繰り広げる中、もう一人の優勝候補の登場で会場が再び熱気に包まれる様子は次回お話しします。

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