Thursday, August 11, 2016

日本で人気選手が出場する試合を生観戦

NHK杯国際フィギュアスケート競技大会 公式メモリアルブック (教養・文化シリーズ)

日本でフィギュアのチケットを取るのは至難の業だと聞いていましたが、海外でしか観戦経験がなかったため日本の会場の雰囲気も味わってみたいと思い、友達もチケットが取れたら一緒に行きたいとのことで、オリンピックシーズンのNHK杯のチケットを2枚申し込んでみました。

このNHK杯は高橋大輔さんや浅田真央選手など人気の選手が出場するということで、競争率が高くチケットを取るのは難しいだろうなと予想していましたが、幸運なことに狙っていた土曜日のチケットを取ることができ、男女シングルともにフリーを観戦できることになりました。


【お茶の間観戦で目に留まった演技】

ショートの演技はテレビやネットで事前にチェックしていましたが、中でも織田信成さんのショート「コットンクラブ」が特に気に入って、彼は前のオリンピックシーズンの「チャールズ・チャップリンメドレー」といい、コミカルな演技が本当に上手いなと改めて感じました。

さらに4回転を含むジャンプを全て成功させる素晴らしい内容で、本人ものびのびと滑っていて本当に楽しめる演技で、高得点を期待し会場からも得点発表を促す手拍子が上がっていましたが、発表された得点はまさかの82点台でした。

演技内容と得点があまりに剥離していたため、会場からも「えー!?」と不満の声が上がっており、本人の凍り付いた表情を見てやりきれない気持ちになりました。

どうやら4回転が回転不足を取られていたようですが、素人目には完璧なジャンプに見えたため納得できず、気になってファンの方々の感想をいろいろ調べてみると、素人の私だけでなく多くのファンがこの採点はおかしいと訴えていました。

The Cotton Club: Original Motion Picture Soundtrack

【暗雲を全て吹き飛ばした爽快な演技】

こんな不可解な採点を目の当たりにしたため、フリーこそは織田くんが報われることを願い、ひたすら祈りながら彼の演技を見守りました。

フリーの「ウィリアム・テル序曲」では最初の4回転が3回転に抜けてしまいましたが、2本目の4回転を綺麗に決めるとその後のジャンプも次々と猫足着氷で決めていき、最後まで無事に滑り終えることができてほっと一安心しました。

ただショートのトラウマがあったためハラハラしながら得点発表を待ち、本人も両手を合わせて祈りながら得点を待っている様子でしたが、今回は170点台の高得点が出て本人も嬉しそうで、最後に彼の笑顔が見れて良かったと心から思いました。

【意表を突いた選曲に戸惑う会場】

そして優勝候補の大ちゃんの前に登場したのは、ショートで2位のハビエル・フェルナンデスでした。

このシーズンの彼の演技を見るのはこれが初めてでしたが、「ピーター・ガン」の楽しげな音楽に乗せて滑るのを見て、今シーズンも得意のコミカル路線で行くんだなと思っていると、突然お色気モードの曲調になりあっけにとられました。

フィギュアを見始めてから様々な演技を見てきましたが、こんな曲調で演技する選手を見たことがなかったため戸惑いを隠せず、さらに友達と見ていたため余計に気まずさを感じてしまい、思わず「凄い選曲やな・・・・・・。」と演技中につぶやいてしまいました。

他の観客も曲に戸惑っていたからかあるいはミスが多かったからか、あまり盛り上がらず得点も伸びませんでしたが、オリンピックシーズンにかなり冒険したなと感じるこのプログラムは、今後どんな作品に仕上がるんだろうと逆に楽しみになりました。


【人気者の登場に歓喜する会場】

そしていよいよ大本命の大ちゃんの出番となり、会場はとんでもない大声援に包まれ、彼の日本での人気ぶりを肌で感じることができました。

「ビートルズ・メドレー」に乗せて演技が始まると、美しく華麗な表現で演技中にたびたび歓声が上がるほど観客を魅了し、ジャンプでいくつかミスが出たにもかかわらず会場は総立ちでした。

彼もこの2年ほど前の「ブルース・フォー・クルック」など選曲で冒険する印象があり、この「ビートルズ・メドレー」も面白い選曲だなと思いましたが、どんな曲調でも自分の色に染める表現力は唯一無二のものだなと思いました。

フロム・イエスタディ・トゥ・ペニー・レイン/ セルシェル・プレイズ・ビートル

そして結果は大ちゃん優勝、織田くん2位となり、日本勢にとって素晴らしい結果となりました。

この勢いで女子も日本人選手が活躍することを祈りつつ、女子のフリーを見届ける様子は次回お話しします。

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Monday, August 8, 2016

一目見た時から気になっていた選手の覚醒

ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2012年 Beautiful Moments of Figure Skating (Beautiful Moments of Figure Skating)

2012年に初めてフィギュアの試合を生観戦した時から、中毒的にハマって何度も繰り返し見てしまう演技がありました。

それは完璧な内容ではなかったにもかかわらず、躍動する手の動きと迫力ある首の動きにより、ダイナミックな曲調を見事に表現していた、町田樹さんの「火の鳥」でした。

【1年前に見た選手の目まぐるしい成長ぶり】

そんな町田くんが1年後のオリンピックシーズンに、同じスケートアメリカの舞台で大躍進していると聞き、さらにフリーは前のシーズンから持ち越しの「火の鳥」だと知り、気になってフリーの演技を見てみました。

そこにいたのは1年前から見違えるように成長し、4回転をバンバン決めて自信に満ち溢れ、一回りも二回りも強くなった町田くんの姿でした。

冒頭で2本の4回転を決めると勢いに乗り、盛り上がる曲調に見事に音ハメされた手と首の動きで観客を惹きつけ、トリプルアクセルからのコンビネーションも見事に決め、素晴らしい滑り出しを見せました。

そして後半もトリプルアクセルを綺麗に決めると、指先まで洗練された繊細な動きで優雅な曲調を引き立て、再び盛り上がる曲調と共に次々とジャンプを決めていき、最後のジャンプを決めると最高潮の盛り上がりとなりました。

最後のジャンプを終えてから演技が終わるまでは、1年前に初めて生で観た時のことを思い出し、1年でここまで成長できるんだと感銘を受け、こみ上げてくるものがありました。

【火の鳥と相性が良い居酒屋解説】

1年前の演技は佐野稔さん解説の動画を繰り返し見ていて、1年後のこの演技も稔さんの解説で見ていましたが、ジャンプが決まるたびに「綺麗でしたねー!」、「凄い!」などと褒めちぎり、演技が終わった瞬間「偉い!」と叫んでいました。

ファンの間では「居酒屋解説」などと呼ばれ、技術的な解説をほとんどしないため賛否両論ありますが、感情をむき出しにして思ったことをそのまま口に出す稔さんの解説は、こういったダイナミックな演技には合ってるなと個人的には思いました。

1年前のスケートアメリカでも解説をしていた稔さんは、「この1年間で町田くんは成長しまくりましたね!」と、実況のアナウンサーも苦笑いするほどのフランクな表現で称えていて、彼の成長に感銘を受けているのが伝わってきました。

そして演技後のインタビューで初めてしゃべる町田くんを観ましたが、しっかりした口調で率直な気持ちと強気な目標を語っており、「絶対にオリンピックスポットを勝ち取りたいと思います!」と宣言するのを見て、目標に向かって突き進む彼を応援したいと強く思いました。


オリンピックシーズンは新たな日本人選手の覚醒とともに幕を開けましたが、これまで次々と有力選手を輩出してきたフィギュア大国日本で、大激戦と言われているチケット争いに初参戦し、ようやく生観戦へと踏み出す様子を次回はお伝えします。

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Friday, August 5, 2016

世界選手権デビューは予想外の結末


ジュベールの貫禄の演技とそれを惜しみなく賞賛する観客の熱気を目の当たりにし、押し寄せる感情の波に飲まれそうになっていた世界選手権の男子フリーですが、まだ最終グループは終わってないんだと気合を入れ直して最終局面に臨みました。

【ロンドンワールド最大の番狂わせ】

ジュベールの低得点に対するブーイングで会場が異様な空気に包まれる中、ショートで素晴らしい演技を見せ2位につけたテンくんが登場しました。

ショートと合わせて二部作となっている「アーティスト」の音楽に乗せ、冒頭の4回転とそれに続く2本のトリプルアクセルを美しく決めて勢いに乗ると、素晴らしい音感で見事に緩急をつけた表現で惹きつけ、音楽の魅力を最大限に引き出し観客を引き込んでいきました。

そして後半のジャンプも3回転が1つ2回転になった以外は全て完璧に決め、最後のジャンプを決めると荒ぶるステップで会場を盛り上げ、選手と会場が一体化した最高のエンディングを迎えました。

ショートではノーミスでもスタンディングオベーションが少なかったテンくんですが、フリーでは観客の心を見事につかみ会場は総立ちで、やっと彼が認められたと嬉しくなりました。

本人も会心の演技に何度もガッツポーズを繰り返し、氷にキスして喜びをかみしめていました。

これはすごい得点が出そうだと期待していると、170点を超える高得点が出て会場は大興奮となり、さらに最終滑走者を残し暫定2位となり表彰台が確定すると、会場から大きな悲鳴が巻き起こりました。

私もようやくテンくんが世界の舞台で結果を出せたんだと感無量になり、順位が出た瞬間他の観客と同じく悲鳴を上げ、いろんな思いがこみ上げ号泣してしまいました。

一つの才能が花開く瞬間はこれだけ感動的なものなんだと肌で感じ、覚醒する瞬間をこの世界選手権で見せてくれたテンくんには本当に感謝しています。

羽生くんやジュベールは音楽を自分の色に染めることによって観客を引き込むタイプですが、テンくんは抜群の音感で音楽の魅力を最大限に引き出し、どんなに荒ぶっても一つ一つの動きが音をうまくとらえており、体から音を奏でているかのような表現で魅了するタイプの選手だと思います。

この世界選手権だけで男子シングルの様々な個性を感じることができ、フィギュアスケートって面白いなと改めて実感しました。


【カナダ勢の活躍と新たな選手の躍進】

そしてテンくんの大躍進に盛り上がる中最終滑走で登場したのは、自国開催の世界選手権のショートで自己最高の演技を見せ、カナダ人の観客の期待に見事に応えたケヴィンでした。

ショートと同様に物凄い歓声で迎えられたケヴィンでしたが、フリーではパトリックと同じくミスが重なり、四大陸選手権の再現とはなりませんでした。

ですがショート3位の得点と合わせて最終順位は5位と自己最高の成績を収め、パトリックもショート1位の貯金で逃げ切り見事3連覇し、カナダ勢は素晴らしい結果となりました。


そして日本勢は羽生くんが4位で最高順位となり表彰台は逃しましたが、大ちゃんが6位で無良くんが8位という結果で、みんなの頑張りが実り無事3枠を確保することができました。

そしてショートとフリーで見事に「アーティスト」の作品を完成させたテンくんは、ショート2位でフリーは1位という素晴らしい成績で、総合で2位となり世界選手権初のメダルを獲得しました。


今回の世界選手権は様々な番狂わせがあり予想外の結果となりましたが、お気に入りの選手の素晴らしい演技を生で見ることができ、さらに新たな選手の躍進を目撃することができて、見に来て良かったと心から思いました。


そして次のオリンピックシーズンではまた新たな選手の躍進を目の当たりにし、その選手にどんどんハマっていくことになるのですが、そのきっかけとなった演技について次回はお話ししたいと思います。

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Tuesday, August 2, 2016

フィギュアスケートの醍醐味


羽生くんの全身全霊の演技に心を揺さぶられ、すでに満足感で満たされていた世界選手権の男子フリーですが、まだまだ上位選手が控えているため、気持ちを切り替えて最終グループに臨みました。

【世界選手権で感じたカナダ独特の空気】

最終グループには地元カナダの2選手が入り、まず前回の世界王者パトリックが登場しました。

ショートでは物凄い声援に見事に応える素晴らしい演技を見せたパトリックでしたが、再び大歓声に迎えられたフリーではミスを連発してしまい、演技が終わった時は周りのカナダ人も「こりゃダメだ・・・・・・。」とつぶやいていました。

しかしカナダ人は演技内容に落胆していたにもかかわらず、一斉に立ち上がってスタンディングオベーションを送っており、普段は内容の良い演技にしかスタンディングオベーションをしない私も、周りにつられて立ち上がって拍手しました。

このときはアメリカとカナダでしか観戦経験がありませんでしたが、どんな演技内容でも自国選手には全員にスタンディングオベーションを送るというのは、カナダ独特の文化だなと日本で観戦を重ねた今でも思います。

【カナダの観客を唸らせた元世界王者の貫禄】

そんな独特の文化に触れつつ次の滑走のジュベールに向けて気合を入れ直し、これが彼にとって最後の世界選手権の演技になるとは知らず、ただただ良い演技ができるようにと固唾を飲んで見守りました。

ドラマチックな「グラディエーター」の音楽に乗せて、冒頭の4回転を決めると勢いに乗り次々とジャンプを降りていき、さらに2本目の4回転でも何とかコンビネーションを付けると、そこからもジャンプを次々と成功させ大きなミスなく滑り切りました。

演技を終えるとショートと同じく観客をあおるように大きくガッツポーズし、会場も自国選手でないにもかかわらず最高潮の盛り上がりを見せ、長年憧れていたジュベールの貫禄の演技を目の当たりにした私は、夢のような気分でバナーを振り続けました。

このとき私はもちろんほとんどの観客が気づいていませんでしたが、おそらく予定していた4回転サルコウが3回転になった影響で、ザヤックルールに抵触しジャンプ1本が無効となってしまい、見た目には素晴らしい演技内容にもかかわらず得点が伸びませんでした。

あまりに低い得点に客席からはブーイングが巻き起こり、私も得点に納得できず悔しさを感じていましたが、それ以上に自国選手びいきのカナダ人がブーイングしてくれたことに感動し、この悔しさをカナダ人と共有できて元気づけられました。

ジュベールの人気はただ単に元世界王者だからというだけではなく、今大会でも2度の4回転に挑むなど4回転へのこだわりを持ち続け、周りに流されることなく自分のスタイルを貫いてきたことで、一流選手としての貫禄を身に付けてきたこれまでの努力の賜物だと思います。

Brian Joubert sur papier glacé

後にこれがジュベールにとって最後の世界選手権だったと知り切なさに襲われましたが、彼がカナダで自国選手と同等の支持を得ているのを肌で感じることができ、彼は世界選手権優勝やフリーで3度の4回転成功など素晴らしい功績を残しつつも、記録よりも記憶に残る選手だなと実感しました。

これはスポーツと芸術の融合であるフィギュアスケートにおいては重要なことで、このような選手と出会えることがフィギュアスケートの醍醐味だと思います。


生観戦独特の空気とともに押し寄せる感情の波にこの時点で飲まれそうになっていましたが、最終グループではこの後さらなるドラマが待ち構えており、長くなってしまいますので結末は次回お伝えしたいと思います。

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Thursday, July 28, 2016

生観戦で唯一無二の魅力を再認識した選手


万全の態勢で観戦に臨んだ初めての世界選手権では、波乱の幕開けとなった男子ショートを目の当たりにし、日本男子の3枠維持とお気に入りの選手の健闘を祈りつつ、いよいよ勝負の男子フリーの日を迎えました。

男子ショートの前は初めての世界選手権の観戦に浮き足立っていましたが、日本男子3枠の危機という予想外の展開でフリーを迎えることとなり、ショートとフリーを通して観戦するのが初めてだった私は、これまで味わったことのない緊張感とともに会場へと向かいました。


【苦しみながらも底力を見せつけた全身全霊の演技】

お気に入りの選手の中で最初の滑走となったのは、まさかの前回の世界選手権で銅メダルを獲得した羽生くんでした。

確かに前回の世界選手権もショートで出遅れて、フリーでは最終グループに入れませんでしたが、このシーズンはショートで何度も世界記録を更新していたので、こんなに早い滑走順になるとは予想していませんでした。

このとき怪我を抱えていて状態が良くなかった上に、日本男子の3枠も危ういというプレッシャーのかかる状況で、見ているこちらも胃が痛くなるような緊張感の中、ただただバナーを握りしめて祈ることしかできませんでした。

そして静かに響き始めた「ノートルダム・ド・パリ」の旋律に乗せて、最初の4回転トウループを成功させて音楽も盛り上がってくる中、鬼門の4回転サルコウも何とか降りて前半は大きなミスなく乗り切りました。

そしてこの作品で私の一番のお気に入りの部分である、心がざわめくような曲調とともに後半の演技に入りましたが、ここからも何とかこらえながら次々とジャンプを決めていき、追いつめられたときに発揮する人間の底力を目の当たりにしました。

最後のジャンプを決めると会場の興奮は最高潮となり、演技が終わったときには一つのドラマを見終えたような感覚で、背水の陣で臨んだであろう羽生くんの心情を思い、涙をこらえながら精一杯バナーを振り続けました。

ビューティフル・モーメント・オブ・フィギュアスケート 2013年   Beautiful Moments of Figure Skating Year 2013  2015/7/8 (Beautiful Moments of Figure Skating)

【音楽に命を吹き込み一つの物語を生み出す選手】

前回の世界選手権はお茶の間観戦でしたが、その時も彼のフリーを見て映画を鑑賞したような満足感で満たされ、音楽と彼の生き様が重なることによってその作品が彼の色に染まり、一つの物語として感情移入させられるのが彼の最大の魅力だと思います。

この全身全霊の演技を目の当たりにし、作品にどんどん引き込まれていくのを肌で感じ、彼の唯一無二の魅力を再認識しました。


この段階ですでに心が揺さぶられ気力を奪われていましたが、さらに予測不能の展開を迎える最終グループの様子は次回お話しします。

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